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第四章・39
がば、と二人は前を押さえた。
いかん、漏れる。
だが青臭いガキじゃあるまいし、そんな恥ずかしいことなどできやしない!
その姿をふふっと笑い、玲はいたずらっぽくウィンクした。
「もう、とっくに5分過ぎてるんだけど」
は、と我に返った二人に、甘えた声をかける。
「ねぇ。僕、リゾットとパエリア両方食べたいんだけど、作ってくれる? 拓斗ぉ」
「喜んで作らせていただきます!」
「ねぇ。僕、食後にはゴディバのアイスクリームが食べたいんだけど、買ってくれる? 秋也ぁ」
「100個でも200個でも買ってきます!」
よろしくね、と微笑んだ後、玲は腕を二人の方へと伸ばし、指先を妖しくくねらせた。
「じゃあ、その前に僕を食べてくれる?」
いただきます! と叫んで拓斗と秋也は玲に躍りかかった。
はぁはぁと息を荒げ、むさぼるように体中にキスの雨を降らせる。
全く二人とも子どもなんだから、と玲は優しくその髪をなでた。
「もぅ。ちゃんとお行儀よく食べてよね」
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