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第五章・5
やっぱり三人でいると楽しいな。
おいしい料理とおいしいお酒、そして笑顔の拓斗と秋也を前に、玲は素直にそう思った。
だが、徐々に料理が減り、ワインが残り少なくなってくるにつれ不安が頭をもたげてきた。
この後、どうなるんだろう。
以前なら、あのことが起きる前なら自然に三人仲良くひとつのベッドで睦み合うことになるところだ。
明日は三人とも非番。
少々夜更かししても大丈夫だし、朝寝坊も許される。
でも。だけど……。
「ねえ、悪いけど先に休んでもいい?」
やっぱりな、と拓斗と秋也は感じた。
この後、三人で寝る、という展開を玲は望んでいない。
仕方がない。そうなるように仕向けてしまった俺たちが悪い。
「あぁ、後片付けは俺らでやっとくから、お前さっさと寝ろ」
「疲れてるんだろう。ゆっくり休むといい」
拓斗と秋也はそう言って、快く玲を解放した。
ほっとしたような、玲の顔。
これでいい。
俺たちは、怖くないのだということが解かってくれればそれでいい。
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