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第五章・7
すうすうと、規則正しい呼吸。
玲、どうやらぐっすり眠っているらしい。
拓斗と秋也は、寝室に忍び込んでその寝顔を拝んだ。
なんて愛らしい。
失って改めて、その大切さに気づいた。
さて、この寝顔を再び手に入れるためにこれからやることは。
「起きろ、玲」
拓斗が、その頬を軽くたたいた。
「ん……」
うっすらと眼を開けた玲。
だが、その焦点はどこかあやふやで定まっていない。
「俺たちが、解かるか?」
「秋也と……、拓斗」
「OK。そのとおりだ」
むくり、と半身を起してこちらを見ている玲。
だが、見ているようで、見ていない。
起きているようで、起きていないその姿。
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