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第五章・17

「あれ? ふたりとも、またソファで寝るの?」  玲の声に、拓斗と秋也は一応遠慮というものを形にした。 「三人だと、狭いだろう」 「お前、ひとりでゆっくりベッド使っていいぜ」  うん、と一度寝室に消えた玲が、再びリビングを覗くのは早かった。 「よかったら、こっちにきてもいいよ?」  内心くすくす笑いながらも、拓斗と秋也は神妙な顔をして寝室へとお邪魔し、粛々とベッドの上に寝そべった。  すまして眼を閉じる。 「ねぇ、寝ちゃったの? 拓斗」 「……」 「秋也?」 「……」  川の字になって二人の真ん中にいる玲は、やがてもじもじと体を揺すり始めた。  寝返りを打つふりをして、拓斗の頬に軽く唇を当てる。 「ん?」 「あ、ごめん。何でも、ないから」  今度は秋也の方へと転がって、その首筋に顔を埋めた。 「どうした」 「え、ううん。別に、何も」  再び、流れる沈黙。

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