167 / 256
第五章・29
弾んだ足取りで医療所を去る玲の姿を窓から見送った後、緑の小瓶を薬棚へ片付けていた福田は、ふと思い直してふたつの色違いの小瓶をデスクの上へ並べた。
そして、ただの水を中に入れた後、小瓶に小さなバラの花を挿した。
茶色の小瓶に二本、緑の小瓶に一本。
もう、二度とこの薬を使うことなどありませんように。
福田の願いに応えるように、三本のバラの花は風に揺れた。
ともだちにシェアしよう!
fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
167 / 256
ともだちにシェアしよう!