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第六章・4
降りた秋也。
ツーペアを出した拓斗に、玲はスリーカードを広げて見せた。
「やった~! 勝った勝った! いただき~♪」
勝ったり負けたりを繰り返す三人だが、ツキは玲にあるようだった。
たちまちのうちに勝ちが積もってゆく。
だがしかし。
「え? 二人とも、降りちゃうの?」
「悪ぃな。手がよくねえ」
「俺もだ」
ぷぅ、と玲は頬を膨らませてカードを投げ出した。
フルハウス。せっかく強い手が入ったのに、二人とも降りちゃうなんて。
あと一回勝ったらやめよう、と玲は考えていた。
あのバラが買えるだけの金額があればいいのだ。
無茶は禁物だ。深入りはしなくていいのだ。
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