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第六章・5
だが、もう一息というところで勝てない。
膨れた顔をしてカードを混ぜる玲を、拓斗と秋也はにやにやと眺めていた。
玲は、実はポーカーが弱いのだ。
いい手が入れば、ぱあっと顔を輝かせ、悪ければ不機嫌そうに曇る。
手の内を曝け出しているような、いやすっかり裸のポーカーだ。
顔を見ていれば、降りた方がいいのか、強く張ってもいいのかがすぐに解かる。
バレバレなのだ。
始めは勝たせてやっていた。
場代も小額だし、まだまだ資金はあるし。
だが、勝負が熱くなってきたところで、二人の男は牙をむく。
情け容赦なく、むしりにかかる。
負けが込んできたことを理由に、天井を決めないようにしよう、と言葉巧みにルールを変える。
どんどん心もとなくなってゆく玲。
ツーペアを手に、自信のない声を出す。
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