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第七章 甘~い男体盛り

   顔色が悪い。  口元をひきつらせ、額には脂汗を流し、息をする事すらこらえている秋也の姿。 「大丈夫?」  玲が声をかけると、秋也は詰まった声を絞り出した。 「すまん、玲。後、頼んでいいか?」  うん、と玲は秋也の手元からまだ半分以上は残っているザッハトルテを取り上げた。  ぱくり、と一口頬張ると、上品な甘さがしっとりと広がる。  おいしい、とにっこり笑う玲をよそに、秋也は濃いコーヒーのおかわりを頼んでいる。  こんなにおいしいのに。  

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