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第七章・6
「よし、そういうことなら俺に考えがある」
「拓斗!」
秋也は目の前が、ぱあっと開けた心地がした。
やはり頼りになる男だ。
これ以上、玲に自分の残り物を食べさせる事にも抵抗があった。
彼が自分のせいで、ころころに太ってしまっては申し訳ない。
「玲、お前も協力するな?」
「もちろん!」
ありがとう。ありがとう二人とも、と秋也は拓斗と玲に固い握手をした。
やはり持つべきものは友だ。
自信満々の顔で拓斗は、明後日マンションに来るよう秋也に申し渡した。
「心配すんな。絶対甘いもん食えるようになっから」
その時、拓斗の口の端が微妙にニヤけていることに、秋也も玲も気づかなかった。
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