199 / 256

第七章・6

「よし、そういうことなら俺に考えがある」 「拓斗!」  秋也は目の前が、ぱあっと開けた心地がした。  やはり頼りになる男だ。  これ以上、玲に自分の残り物を食べさせる事にも抵抗があった。  彼が自分のせいで、ころころに太ってしまっては申し訳ない。 「玲、お前も協力するな?」 「もちろん!」  ありがとう。ありがとう二人とも、と秋也は拓斗と玲に固い握手をした。  やはり持つべきものは友だ。  自信満々の顔で拓斗は、明後日マンションに来るよう秋也に申し渡した。 「心配すんな。絶対甘いもん食えるようになっから」  その時、拓斗の口の端が微妙にニヤけていることに、秋也も玲も気づかなかった。

ともだちにシェアしよう!