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第七章・25

 甘い甘い香りで、むせ返りそうだ。  だが、もう大丈夫。吐き気を催すほどではない。  荒い息を吐きながら、秋也は玲の耳を優しく噛んだ。  柔らかな耳たぶ。そこも甘い味がする。 「おう、これで甘いもん克服できたろ」  拓斗も、息を弾ませている。  ふと顔を上げると、伊達男がすっかりクリームやらシロップやらでべたべたに汚れている。  だが、それは自分も同じことだろう。  そして、一番ぐちゃぐちゃに汚れきってしまっている愛しい姿が体の下に。  ありがとう、玲。  ぐったりと横たわるその頬に、甘い甘いキスをした。

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