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第七章・26
意気揚々と招待状を持って出かけていった秋也だったが、大丈夫だろうか。
拓斗と玲は、マンションで秋也の帰りを待った。
甘いもの漬けになって、疲れきって帰って来るであろう友人のために、濃いコーヒーを入れる準備をして待っていた。
「今、帰った」
「秋也!」
「大丈夫か、お前!」
二人の心配をよそに、秋也は青ざめてもいなかったし吐き気をこらえてもいなかった。
よかった、と胸をなでおろし口々に労をねぎらっていると、お土産だといって菓子折りを渡してきた。
「三谷からだ」
開けてみると、おいしそうな焼き菓子が。
「スペインの菓子でな。ポルボローネスというんだ」
おいしそう、と玲はもう今から食べる気満々である。
はしゃぐ姿に、拓斗はにやりと笑った。
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