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第八章・2

 う~ん、と二人の男は考えた。  夏は暑いから、秋は気候がいいから、などなど理由をつけては生活の乱れる玲。  見かねて秋也や拓斗が、家事一切の面倒を見ることもある。 「やればできるんだよ、あいつも。ただ、何かの拍子で面倒くさがりになっちまう」 「要は習慣だ。正しい生活を、習慣づけてやらないと」 「正しい性生活もだ」  今度は反論しない秋也だった。 『面倒くさい病』にかかった時の玲は、セックスすらおっくうらしい。  幾度となく一夜をフラれたのは、拓斗だけではない。  秋也もまた、このところご無沙汰している身の上なのだ。 「何とかしなくてはな」 「何とかなるのかよ」  器用で気の利く拓斗が頑張っても、無理なのだ。  不器用で気の利かない秋也は、逆立ちしても玲を動かせまい。  それでも秋也は秋也なりに玲の事をいつも考えつつ、毎日を過ごした。

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