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第八章・13

「拓斗、急ぎ過ぎだ」  秋也はそう言うと、玲にゆったりとキスをした。 (そういえば、秋也とキスをするのは久しぶりかも)  いや、秋也ばかりではなく、拓斗ともだ。  彼はよくここへ来ては、食事の用意をしてくれる。  それだけで帰してはいなかったか?   のんびりお酒を飲んだり、キスを交わしたり。  そんな楽しい時間を忘れてやしなかったか?  キスを終え、上気した頬の玲の心に、わずかずつ変化が生まれていた。

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