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第八章・20
「玲、今度は俺とキスしよ」
「ぅん……」
合わせた唇を割って、拓斗から口移しでイチゴが与えられた。
「あ、おいしぃ」
「だろ~?」
ちゅっちゅとキスをしながら、秋也はブドウを、拓斗はイチゴを次々に咥えさせてくる。
(何? 新妻って、こんなことするの?)
玲が見当違いな事を考えていると、秋也が口に指を挿れてきた。
「玲、小腹は満ちたか?」
拓斗が、玲の指を吸ってきた。
「料理、もう少し先でもいいだろ?」
確かに、果物で空腹はまぎれている。
「うん。大丈夫みたいだけど、どうして?」
どうして二人は、僕に果物を……。
「すまんな、もう我慢できん」
「今すぐいただきたい、ってぇコト」
「だったら早く料理を」
いや、拓斗と秋也が食べたいものは料理ではなく、新妻・玲だったのだ。
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