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第八章・34
「おいし~い♪」
「よく食う新妻だ」
「新妻ごっこは、もうおしまい!」
風呂から上がった玲は、もう例の白いエプロンを付けてはいなかった。
普段の服に着替え、二人の男が作った料理を、おいしいおいしいと喜んで食べた。
「久々によく動いたからかな。お腹にどんどん入っちゃう」
「これからは、家事をきちんとするんだぞ。でないと、またエプロンを持ってくるからな」
「は~い」
秋也に思わぬ説教をくらい、玲はちょろりと舌を出した。
これは拓斗も似たような言葉で叱りにくるかもしれない。
玲がちらりと拓斗の方を見ると、彼はニヤケながらうんうんと頷いている。
「よく動いた、とか、お腹にどんどん入る、とか。お前、自分がどんだけ意味深なコト言ってるか解かってンの?」
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