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第23話

「あっ……や、焦らさ、なっ……で」  リビングのシーリングライトを落として、オレンジ色の間接照明だけに照らされた身体がダイニングテーブルの上で規則正しく揺れる。  廊下はシンと静まり返っていて、葉月は自室でもう夢の中だ。  背後から覆いかぶさる陽は、睦月の腰を掴みながら浅い場所ばかりを突いてくる。  先程からずっと焦らされていて、小刻みに肌を震わせながらも深い愛撫が与えられず睦月はもどかしくてならない。 「ひぁっ……やっ、だぁ、そ、こばっか」 「なんで? 好きだろ……ココ」  いつ買ったのか、粘り気のあるローションを上から垂らされ、その冷たさに背中がブルリと震えた。陽の肉棒で抜き差しされるたびに、グチグチとローションが体内で混ぜられる淫音がリビングに響いた。  陽の怒張を締めつけながら必死に奥へ引き込もうとするが、少し入って来たと期待に震える瞬間、イイ場所を掠めただけで引き抜かれてしまうのだ。 「も、イジメないで……っ、やぁ、おねがっ」  涙声で背後の男に訴えれば、緩く腰を振っていた陽が仕方ないなとばかりに少しずつ奥へと入ってくる。 「やぁ、ら……っ……もっと」  睦月はジリジリと迫る快感をどうやり過ごせばいいかわからずに、ハクハクと声にならない声を漏らしながら、涙に濡れた瞳を陽へと向けた。 「ほら、睦月……やり方わかるだろ?」  グイッと手を引かれ起き上がると、薄い唇に滾った怒張の先端を押し当てられる。陽の昂りは二人分の体液でしとどに濡れていて、明かりに照らされテラテラと濡れ光っていた。  睦月はダイニングテーブルの前にしゃがみ込み、陽の太ももに掴まりながら濡れた欲望を口に含んだ。  早く奥にほしいのだと、陽の快感を高めていく。ねっとりと舌を這わせながら、チュッと先走りの溢れた亀頭に吸いつく。  顔を上下に動かしながらも、ジンジンと痛いほどに腫れる自らの陰茎に手を伸ばした。我慢出来ずに陽の足へと擦りつけながら扱くと、口に含んだ欲望がはち切れんばかりに膨れ上がった。 「はぁ……ん、む」  クチュクチュと音を立てながら、溢れる唾液と先走りが口の中で撹拌《かくはん》され混ざり合う。ジュッと苦味のある体液が舌に絡まり、睦月はもっとと強く吸いついた。 「む、つきっ……」  頭上からハッと短く快感に濡れた息が吐きだされた。  同時にグッと頭を掴まれ腰を打ちつけられる。喉の一番を奥に触れ生理的な涙が溢れる。苦しげに寄せられた睦月の眉に申し訳なさが立ったのか、陽の手が離れていった。 「……っと、悪い」 「陽、さ……いい、から……したいようにして?」  濡れた睫毛を瞬かせて陽を見上げる。コクリと男らしい喉仏が一つ動いた。  再び太い陰茎を口の中に含み、奥まで飲み込んでいく。喉を開いてすべて受け入れてしまえば、そう苦しくもなかった。  ゆっくりと睦月の身体を気遣いながら、陽が動きを早めていく。 「ふ、っん……んむ……っ」  グチュングチュンと溢れた唾液が口の中で音を立てる。喉奥を突くほどに深く抉られて、口の端から飲み込みきれない唾液が流れ落ちた。  情欲に駆られた男の顔が睦月の頭を撫でている。眉を寄せ、迫る快感に必死に抗っているかのような艶めかしい表情は、あまりに甘く、それでいて野性味を感じる美しさだった。  怒張を奥深くまで必死で飲み込みながら、己の性器を扱く手も止まらない。下肢からもひっきりなしに濡れた音が立っていた。 「……っ、はぁ」  口の中の肉棒がビクビクと脈打つ。直後、ジュッと熱い体液が口腔内に注がれ、睦月の手の中にある性器も跳ねた。何度目かわからない精液を陽の足へと吐きだしながら、注がれる精液をコクコクと飲み干していく。 「ん、んっ……」  決して美味しいとは言えない精液が、ぬっとりと口の中に絡みついた。 「陽さん……いい子、して?」 「そういう言い方されると、悪いことしてる気分になるだろ」  文句を言いながらもよしよしと頭を撫でられて、微笑みを返す。腕を引かれて、再びダイニングテーブルへとうつ伏せに身体を押し倒された。 「もっと、早く大人になれればいいのに」  睦月の言葉を飲み込むように、後ろから陽の唇が重なった。睦月を翻弄するかの如く、口腔内を動き回る舌に口の中に残る白濁ごと吸い取られる。 「はぁっ……ん」  燻っていた熱が再燃する。中に受け入れる快感を想像しては、後孔がヒクヒクと収縮し、耐えられないのだと身体を擦りつける。 「俺の楽しみを奪うなよ。まだ、大人になんてならなくていい……お前が悩みながら成長していくの、もう少し見せろ」  達したばかりなのに、余裕ぶった表情の陽が言葉ほど余裕がないことは、触れあう下肢から感じられた。放置され乾いてしまった双丘へと、再びローションが垂らされる。 「……っ、陽さんって、趣味悪い」 「いや、相当いいだろ? お前を選ぶぐらいなんだから」  フッと鼻で笑われて、もう言葉は要らないとでも言うように、ヌルリと滑る後孔へ昂りを押しあてられた。クチュと淫らに濡れて、中へと欲しがっているのがわかっているはずなのに、また焦らされる。 「んっ……は、やく」  自ら腰を押しつけると、ヌポッと丸みを帯びた先端がゆっくりと内壁を味わい襞をかき分けながら入ってくる。  ゾクゾクと肌が粟立ち、腰から凄絶な愉悦が駆け上がってくる。 「アッ、はっ、ん……ダ、メ……そんなゆっくり、したら……なんか、すぐ……」  襞を刮げるように突き上げられる。睦月は恍惚とした表情で、ダイニングテーブルへと手をついた。何も掴むものなどない、ツルツルとしたテーブルの上を助けを求めるかのように手が前へと這っていく。  そして最奥を突かれると、ビクンと身体が痙攣したように震え、背筋が仰け反った。テーブルに押し当てた自身の先端から白濁が噴きこぼれ床に散った。 「ひぁぁ──っ!」  陽を受け入れている内壁が小刻みに収縮する。その間も抽送は続き、肉棒を締めつけながら、押しては引く波のように訪れる快感に耐えた。 「ダメっ、ダメだってばぁ……っ、やっ、出てる、から」 「覚えたろ? ほら、もう一回……な?」  ギュッと強く達した直後の芯のない性器を握り込まれ無理やりに扱かれる。狂おしいほどの悦びに、睦月はただただ絶え間なく嬌声を漏らし続ける。 「アッ、アッ、アッ──ン、ふっ、え……っ」  強過ぎる快感に涙が溢れる。なのに手は止目てはもらえず強引に高みへと昇らされる。急き立てるように感情が高ぶり、睦月の口からは嗚咽が漏れた。 「や、ぁっ……なん、か出ちゃうっ、変なの……っ、出るから」 「いいよ、イッて。ほら」  ギュッとテーブルに爪を立てながら、睦月は陽の手に合わせて腰を振った。止めてほしいのか続けてほしいのかもよくわからない。ただ抗いようのない愉悦の海に溺れているだけだ。 「あぁぁぁ──っ!」  ピシャッと睦月の性器の先端から粘り気のない透明な液体が噴きでてくる。あまりの強過ぎる快楽に身体が付いていかない。 「はぁっ、はっ……なに、これぇ……」  身体をビクビクと震わせたまま、喘ぎ過ぎて掠れた声で聞く。立つこともままならずテーブルに体重を預ける睦月の身体を抱き寄せた陽に、耳朶を甘噛みされた。 「男でも……潮吹けるんだよ」 「し、お? ってなに……」  顔だけを陽に向けて、キョトンと目を瞬かせる。陽の複雑そうな表情に、何かまずいことを聞いてしまっただろうかと首を傾げた。 「やり過ぎたな、悪い。ゆっくり……色々していこうな? 時間はたくさんあるし」  何をという質問に答えは返されない。陽の中では結論が出たのだろうか。一つ頷くと、睦月の身体を軽々と持ち上げ絨毯の上へと寝かせられる。  涙に濡れた目元をティッシュで優しく拭われ、覆い被さってくる陽の背中に腕を回した。 「ちゃんと、奥……してやるから」 「ん……っ、あ」  グッと硬い先端が入ってくる瞬間。何度経験しても身体に緊張が走る。楽な体勢を取り息を深く吐きだしていると、額から目尻、頬へと唇が下りてきた。  一番太い亀頭を飲み込んでしまうと、陰茎が奥へと向かっていく。先端が最奥に辿り着くと、深い刺激に腰が浮き上がる。 「あぁっ……いっ、それ──」  グチュングチュンと最奥を何度も突かれ、睦月の身体は悦びに戦慄いた。自然に受け入れやすい体勢を取り、太ももを腹へとくっ付けるぐらいに持ち上げ大きく開いた。 「……っ、いいか?」 「ん、あぁっ、気持ちい──っ」  深い場所に何度も当たる。前立腺を亀頭で刮げられ、内壁を抉られる感覚。頭の芯が痺れるような陶酔感に浸っていた。  うっとりと陽の瞳を覗き見れば、射抜くような瞳で見つめ返された。  どれぐらい身体を揺さぶられていただろう。時間の感覚も麻痺し、ただ甲高い悲鳴のような声が上がる。 「い、イイっ──も、イク、アッ、出ちゃ……っ!」  ヒクリと喉を鳴らし声にもならない声で啼く。足先が硬直し、腹部へと白濁を飛び散らせた。  ギュッと中を締めつけると、陽の昂りも大きく跳ねてグチュリと体液が混ざりあう音と共に、結合部から収まりきれなかった白濁とした液体が後孔から溢れ落ちた。  全身が弛緩し、もう指の一本にすら力が入らない。  はぁっと大きく息を吐ききる。陽の身体の重みが、とてつもなく愛おしかった。

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