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Ju te Veux:05-4:魂を分け合って(R)
耳朶を口に含まれてチュッと吸われる。胸を滑る指の動きは性急だけれども滑らかで、丁寧だ。
……ああ、そうだ。湯島君はいつもこうやって、優しく丁寧な手つきで試験管やビーカーを扱うのだ。自分は今、あの試験管のように、丁寧に扱われているのだ。
いいや、あの、ピアノのように。
そう思うと、何故だか途端に体が痺れた。
湯島がピアノを奏でるように、自分の体を奏でている。それなら、自分は湯島の指からこぼれ落ちるピアノの音なのか。あの素晴らしいピアノの旋律のように、自分は湯島をかき立てることができるのか。
丁寧に、優しく、情熱を持って。
湯島の全てが、今自分に注がれているのだと、そう思うと体中から歓びが湧いてくる。
ああ、自分が湯島のピアノに胸が騒ぐように、湯島にとって自分がピアノと同じほど彼をかき立てる物であるなら……!
「ん、湯島君…っ」
その想いのせいだろうか。急に、湯島の指が触れる全ての場所が、甘い調べを持ち始めた。
体中が、熱い。
「なんで……」
そんなところは感じないと思っていた胸から、甘く甘く、体の中心に向かって快楽の波が流れていく。体中のどこもかしこも、湯島に触れられる感動に震えている。
「あ……、ど…しよう、どうしよう、湯島く…… 」
「瀬川さん、そのまま素直に感じてください。ああ、瀬川さん、すごく綺麗です……」
湯島の唇が胸の突起を挟み、きゅうっと優しく吸い上げた。
「あ、あ、ど…しよ……声、へんな声、出……」
「いっぱい出してください」
「でも……おれのこんな声……ん、あっ…」
「出して。すごく、すごく可愛いですよ」
自分の脚に絡みついている湯島の脚を、瀬川は縋るように挟み込んで力を入れた。湯島の滾る雄が腰骨に当たって、彼が感じているのだと思うとよけいに自分のそこも熱くなる。もう、このまま達ってしまいたい……。
「湯島くん、も……」
「もう、ダメですか?」
甘い囁きに、瀬川はコクコクと頷いた。
「湯島君もいっしょに……」
呂律の回らなくなってきた舌でそう言うと、今度は湯島も「そうですね」と頷いた。
「僕も1度出してしまわないと、このままあなたに無様な姿を見せてしまいそうです」
そう言うなり、湯島は自分のバスローブの紐を外し、中から雄芯を取りだした。
優雅な湯島の仕種からは想像もつかないような、ふてぶてしさだった。こんな物を隠し持っていたのかと思うと、思わずゴクリと喉が鳴ってしまう。
「どうしました?」
「だって……こんなの、入んないだろ……」
瀬川の怯えるような瞳に、湯島は小さく苦笑した。それから勇気づけるように、額に優しく口づけてくれる。
「入りますよ。ゆっくり時間をかけて準備すれば。……痛かったり怖かったりすることはありません。僕を信じて」
口づけられた額に手を持っていく。
『僕を信じて』
そう言われれば、瀬川は素直に信じるしかないのだ。
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