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Ju te Veux:05-9:魂を分け合って(R)
「俺、今まで、ん…、ゆしま、くんが…っ、触る、ビーカーとか、羨ましかった……」
「え?ビーカーがですか?」
さすがに驚いた声を出す湯島の肩口に顔を埋めて、瀬川はせり上がってくる甘い吐息で途切れそうになるのを何とか宥めながら、言葉を紡いだ。
「多分、俺は最初から、湯島君のことが……好き、ふっ、だったんだ……。あのビーカーみたいに……はっ、ん、湯島君に、大切に…扱われたいって……多分、そう思ったときには、湯島く…ん、が、好き、だったんだと……思……あっ!!」
必死に思いを伝えようとしているのに、湯島は瀬川の中をゆるゆるといじめている。ひどい、と睨みつようとしたが、がっちりと抱き込まれていて、湯島の顔を見ることができない。
それでも、湯島の背中に回した指先に力を込めたら、耳元にそっと「今の僕は合格ですか?」と囁かれた。
「ビーカーなんかより、よっぽど瀬川さんのことを、丁寧に優しく触らせてもらっているつもりなんですが」
その声が優しくて、嬉しい。
「うん。こんな……えっちになるとは思わなかったけど……でも、湯島君にこうして触ってもらえて、嬉しいよ。俺は、湯島君を、ちゃんと満足させてる……?ピアノと同じくらい、俺は君にぴったりしてるか……?」
湯島の胸から鎖骨の辺りに頬を擦りつけながらそう聞くと、湯島は急に瀬川の体を引き剥がしてしまった。
「ああ、もう……!」
「湯島くん……?」
何か怒らせてしまったのかと怖くなる。さっきまで優しくしてくれていたのに。それでも、自分の体はまだ湯島に触れてもらっていた歓びを覚えていて、切ないほど湯島を求めている。
「……だから、僕も結構ギリギリなんですよ!」
「え?ごめ……」
思わず謝ってしまったが、湯島が何を怒っているのかよく分からない。
「あなたに優しくしたいと思っているのに、そんな可愛いこと言われたら、もう我慢できなくなるでしょう!?」
「え?」
「挿れて良いですか!?」
「え…えぇ!?」
挿れてって……え、まさか……この状況で!?
「湯島君、怒ってるんじゃないのか……?」
「どうしてそうなるんですか!?」
「え、だって……」
「も……早く瀬川さんの中に入って、ピアノよりも僕自身の方が瀬川さんにぴったりするって証明したいんですよ!!」
そう言うなり、湯島の熱い塊が瀬川の後孔に宛がわれた。それは思っていたよりも肉感的で、存在感を主張している。いきなりの展開に途惑う瀬川の心よりも、体の方が先に湯島に素直に従った。瀬川のいじらしい蕾は、湯島のそこをパクリとくわえこみ、早く中においでよと誘っているようだった。
「うわ、ちょ……は、はいっちゃう……これ、入っちゃうぞ……?」
「ええ。あなたの体は、僕を気に入ってくれたみたいです」
それでも湯島は、多分全ての理性を動員してくれているのだろう。ゆっくりと、ゆっくりと瀬川の中に入ってきた。先程の勢いで押し入られたらどうしようと思ったが、少しずつ道筋をつけるように、中に入っては少し引き、また入っては少し引き、こんな時でも湯島は瀬川の体に負担をかけないように、最大限の努力をしてくれている。
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