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〜久遠の疑問〜②※
腰を動かす度に、千里が揺れる。
耳と尻尾をもふもふゆらゆらさせて、未だ慣れない行為と快感に戸惑う表情は、たまらなく久遠の下腹部の熱を誘った。
千里は甘い香りを放ちながら控え目に啼いている。
ここが校内の図書室である事も要因なのだろうが、ベッドの上でも必死で喘ぎ声を我慢する。
乱れた啼き声を、もっと聞かせて。
そうお願いしてみても、薄目を開けて頭を振るのでまだまだそれは叶いそうにない。
「授業始まっちゃったね。 ……ちー君、今ここに人が入って来ちゃったらどうする?」
「……っ? …………」
千里の腰を持ち上げて激しく突き上げながら、耳元で囁いた。
するとぎゅぎゅっと中が蠢き、動きを止めさせるほどの締め付けに久遠は片目を細めた。
誰かにこの現場を目撃されるかもしれない、一瞬その想像をしたに違いない千里から抗議の目が向けられる。
「分かるよ、ドキドキするよね。 ちー君の中、すごく締まった。 僕のをギュッてしたの。 分かる?」
「いや、……いや……っ、言わないで……!」
「ふふっ。 たくさん濡れてる。 感じてるんだね」
「やだぁっ、久遠、こわい顔、っしてる!」
体だけではなく脳をも犯す言葉で、千里を翻弄した。
動くと中から愛液が溢れ出てくる。
温かくやや粘り気のある甘い汁がぐちゅぐちゅと音を立てるので、亀頭を何度も出し入れしてそれを楽しんだ。
必死で押し殺す声を聞きたいあまり、少しばかり久遠は意地悪をし過ぎた。
今にも泣きそうな顔で久遠にしがみつく千里の唇を舐めて、いつもの笑顔を見せてやる。
「ごめんね? あんまり気持ちいいからつい。 ちー君のその顔、見たかった」
「……っ? どの顔……?」
「この顔。 気持ちいいよぉ、ってね」
「……!? ……優しくない、……っ!」
「僕は優しいよ。 ちー君のいいところ、いっぱい擦ってあげてるでしょう? ちょっとだけ乱暴なのは、……許して?」
「あっ……そんな……っ」
「ちー君の中、すごく熱い。 僕の大事なものが、溶けちゃいそうだよ」
これ以上言うと本当に怒るかもしれないというギリギリまで、千里の脳と神経を揺さぶる。
下唇を噛んで声を殺すいたいけな姿を見ると、ここが図書室なのを恨めしく思った。
しかし、自宅まで待てなかったから仕方がない。
千里から「したい」とおねだりされたのは初めてだったからだ。
いつも久遠が我慢出来ずに千里を押し倒すので、自分だけが求めているのだとばかり思っていた。
久遠しか知らない千里だから、少しずつ快楽を覚えてくれたらいい。
そう思っていたのに、たがが外れるような事を言うからいけない。
「そうだ。 ちー君、あれから千歳と二人っきりで会ったりしてないよね?」
千里の鎖骨を見ると毎回思い出す、忌々しい鬱血の痕。
あれは一週間以上も千里の体に残り、久遠をイライラさせた。
あの翌日、久遠が怒りをもって牽制をかけたというのに、アイツは何故か今もずっと余裕ぶっているのだ。
ただ安心したくて問うただけなのだが、久遠の下でささやかに啼く千里が僅かに首を傾げた。
嫌な予感しかしない。
「……ぁんっ、んっ……え、? ダメなの……?」
「ダメに決まってるでしょう。 ……何? 二人きりで会ったの?」
「ぁぁあっ、久遠、っ……」
「嘘でしょ? いつ? 僕、ちー君といつも一緒にいるよね?」
そんな事を聞かされると、無意識に突き上げを激しくしてしまう。
いつ、どこで、どんなつもりで、会ったりしたの。
……僕がいるのに。
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