8 / 34
〜久遠の疑問〜③※
小ぶりな千里の性器が涙を零し始めた。
絶頂に向かわせてしまうほど性急に動いてしまっている自覚はあったが、止められない。
「久遠っ、……あっ、も、ぅ、ぅぅっ……」
「ちー君。 教えて。 僕に内緒で、元婚約者に会ったの?」
「あぁっ……だめ……っ、いっちゃう、いっちゃう……っ!」
話したくても話せないだろう。
それを許すまいと久遠は突き上げ続け、千里は珍しく甘い声を上げている。
胸が焼け焦げそうだ。
久遠には久遠の世界があり、千里には千里の世界がある。
純粋な血を求めるのはどこの種も、そしてヒトも同じだけれど、混血したっていいじゃないか。
絶えるわけではないのだから。
それを知っていて尚、千歳は久遠を挑発してきた。
チンチラ族のαとΩは貴重だからと、久遠の入る隙間なんか無いとでも言いたげな余裕の笑みは、久遠をひどく焦らせてしまう。
千里の心変わりが怖い。
やっぱり種のために久遠とは番にはなれないと言われてしまったらどうしよう。
二人きりで会えば、千歳が千里を落としにかかるのは目に見えているので、絶対にそんな事はさせまいと以前にも増して久遠は千里にベッタリだったはずだ。
一体、二人はいつどこで会ったのか。
「ちー君……」
「あぅっ、……っ!」
千里が放ったものは久遠が手のひらで受け止めた。
避妊具を付けないままだった久遠は、千里の中に勢いよく放った。
このまま赤ちゃんが出来ていればいいのに。
薄っすらとそう願いながら、千里の首筋を甘噛みして吐息をもらした。
髪を撫でて、ついでにふわっとした耳に触れると、体がピク、と動いて可愛い。
「僕に内緒はダメだよ。 ちー君、話して」
「……久遠こわい……怒ってる。 激しかった。 ……優しくなかった」
「ちー君が僕に秘密にしてたんだもん。 優しくなんてできないよ」
「優しくして。 ……優しい久遠が好き」
嫉妬と恐れに取り憑かれて、千里を涙目にさせてしまった。
優しく出来なかった理由の半分は千里のせいだと言いたくても、尖らせた唇と寂しげな瞳が久遠に罪悪感を抱かせる。
とことん千里には甘いなと苦笑を浮かべた。
「……分かったよ。 ごめんね。 僕が悪かった」
「……優しい久遠に戻った?」
「戻ったよ。 戻ったから、話してくれる?」
「うん」
手のひらをウエットティッシュで拭い、名残惜しい千里の熱を感じていた自身を引き抜いてそれも拭った。
まだ暴れ足りない己がぐしょぐしょに濡れていたので、お互いの興奮がいかに凄かったかよく分かる。
ねっとりとした千里の愛液に見惚れながら拭っていると、おもむろに千里がうつ伏せになった。
「話す前に綺麗にしてほしいの?」
「うん。 綺麗にして」
秘部が濡れそぼって気持ち悪いのか、千里はセックスの後の後始末だけは甘えてくるようになった。
自分で拭う方が恥ずかしいらしい。
「ふふ……。 ちー君、お尻上げて? ……やだなぁ、こんなやらしい格好されるとまた挿れたくなっちゃう」
「だめっ。 あとはベッドがいい。 ここヤダ。 寒いもん」
「そうだね。 続きはベッドでしようね。 ……あ、尻尾も少し濡れちゃってるよ。 ちー君いっぱい感じてたもんね」
「………………っ」
千里の愛液が付着したもふもふの尻尾を持ち、拭うフリでわざと擦り上げると背中がしなった。
相変わらず尻尾も性感帯なようだ。
「久遠……っ、やらしいっ」
「ふふっ。 ごめんね。 イタズラしちゃった」
ついつい触りたくなる見た目と質感は、あまりにも目に毒だ。
どうしてか、千里と話していると久遠の疑問はいつも流されてしまう。
後始末が終わって、さぁ話を聞こうかと千里を膝の間に座らせると。
「久遠、飴玉ちょうだい」
「え、今? お話は?」
「グレープ味ほしい」
「……僕の事、キャンディーマシーンか何かと勘違いしてない?」
「してない。 飴玉くれる久遠、好き」
「ほんとかなぁ……」
苦笑した久遠が、千里の口の中へグレープ味の飴玉を入れた。
すかさず指先を舐められて、ハッとする。
「あ、…………」
しまった、と思った時には遅く、すでに千里はムッとしてこちらを向いてきた。
ともだちにシェアしよう!