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第11話※
時折、旭陽は一日中家を空けては夜中に帰って来ることがあった。おそらく、仕事をしているんだと思った。
その日も夜中の2時を過ぎた頃、旭陽が帰って来た気配がしシオンは下へと降りた。
「旭陽?帰って来たの?」
キッチンに立って、水を飲んでいた旭陽に声をかけた。
一瞬、シオンの鼻先に鉄のような匂いを感じた。
鉄よりも生臭いそれは、血の匂いだとすぐに分かった。
水を一気に飲み干すと、大きく肩で息を吐いて苦しそうに見えた。
「起きてたのか……」
「うん。お風呂沸いてるよ」
旭陽はいつまでも背中を向けたまま、こちらに顔を向けようとせず、様子のおかしい旭陽に近寄った。
「旭陽?」
シオンは旭陽の肩に触れた。
「触るな!」
突然旭陽はシオンのその手を振り払った。
驚いたシオンは旭陽の顔を見た。
どす黒い返り血で顔と白いシャツが汚れている。
相変わらずヒューヒューと苦しそうな呼吸をし、俯いている。
「ど、うしたの……?」
顔を上げた旭陽の顔は真っ青に血の気が引き、滴るほどの汗をかいていた。目が据わり凶暴な顔をしたその表情にシオンはゾッとした。
次の瞬間、旭陽はシオンの腕を掴んだ。
「い、痛いよ……」
シオンの声が聞こえないのか、旭陽は黙って階段を登り、寝室のドアを開けた。シオンを荒っぽくベットに放り投げるように手を離すと、旭陽はジャケットとシャツを脱ぎ、シオンを組み敷いた。
「あ、旭陽⁈」
噛み付くようなキスをされ、旭陽の手がシオンの胸を弄り始めた。その手は酷く熱く、触られた部分に熱が伝染したように、シオンの肌も熱を持ち始めた。
旭陽の足がシオンの股に割って入ってくると、腰を押し付けられ、シオンはビクリと肩を揺らした。
(勃ってる……)
明らかにシオンは旭陽の硬くなっているものを感じた。
激しくキスを繰り返され、首筋や乳首を噛みついてはきつく吸われて跡を残される。
(こ、怖い……)
まるでレイプをされているような気分になり、シオンは恐怖心が込み上げてきた。
だが、今旭陽は自分を抱こうとしている。ずっと願っていた事だ。大きく呼吸を一つ吐くと、旭陽がしたいようにさせようと愛撫……には程遠い旭陽の手の感触に意識を集中させた。
(やっと抱いてもらえる……)
そう思えば、幸せだと思った。
下着を脱がされシオンの中心を激しく扱かれた。
「あっ……あっ……!やぁ!」
シオンは呆気なく達してしまうと、シオンの吐精したものを旭陽は指に絡め取ると、秘部に指を当てた。
「いっ……!」
ズブリと指が入って来ると、痛みが走る。すぐに指2本に増やされ、荒っぽく中を掻き回された。
旭陽の首に腕を絡め、それをやり過ごそうとグッと堪えた。
「キスして……旭陽……」
相変わらず旭陽の目は据わり、自分を見ているのか見ていないのかわからない表情だったが、シオンが言っている事は聞こえているのか、唇を塞がれた。
旭陽は自分のベルトを外し前を開けると、いきり勃った自分の中心をシオンの秘部に当てた。
「ま、待って!ま、まだ……」
そう言った瞬間、ズンッと激しい痛みと共に一気に旭陽のものが入ってきた。
「いたっ……!」
秘部が切れたのがわかった。
「きつ……」
さすがの旭陽も顔を歪め、動きを止めている。
「……っ、はっ……」
シオンはゆっくり息を整え、痛みをやり過ごそうと萎えた自分の中心に手をかけた。ゆっくりと扱き出すと、旭陽がシオンのその手に重ねてきた。
「いいよ……動いて……」
旭陽の背中に手を回し、自ら腰を押し当てた。旭陽はシオンの膝裏を抱え、激しく腰を打ち付け始めた。
「あっ!いっ……はっ……」
意識が飛びそうになりながら、旭陽のものを感じた。
「旭陽……もっと滅茶苦茶に……して……いいから……」
旭陽はシオンを抱き起こし、向き合う形になると下から何度もシオンを突いた。
「旭陽……もっと……もっと……」
「シオン……シオン……」
うわ言のように、旭陽はシオンの名前を呼んだ。
快感など皆無の痛みだけのセックスだった。それでも、シオンの中に痛みとなって旭陽が記憶される。
(好き……好き……旭陽……)
下から何度も揺さぶられ、旭陽の白濁した熱いものがシオンの奥に吐精された瞬間、シオンは気を失ってしまった。
目を覚ますと、旭陽が自分を胸に抱き泣いていた。
「なんで泣いてるの……?」
旭陽の頬にそっと触れると、旭陽の肩が揺れた。
「ごめん……シオン……ごめんな……こんな無理矢理、痛かったよな……」
「確かに……痛かったけど……」
そう言うと旭陽をぎゅっと抱きしめ、顔を旭陽の胸に埋めた。
「本当、ごめん」
「インポ、治ったの?」
そう問うと旭陽は首を振った。
「時々……仕事した後、妙に興奮して勃つ事があるんだ……変だよな……」
「そっか……」
また次できる保証はないと言う事だ。
「また、いつかできる時があったら、優しくしてよ」
そう言ってシオンはキスをすると、旭陽は先程とは違う優しいキスをくれた。
首筋から胸に旭陽は唇を這わせ、舌先で乳首を舐めあげられた。
「んっ……っ」
いつの間にか、旭陽はシオンの股間に顔を埋め、中心を口に含んだ。
「あぁ……!あっ……んっ……!」
口が離れたと思うと、シオンの秘部に旭陽の舌先を感じた。
「⁉︎や、やだ……!そんな事……!」
「血が出てる……ごめんな」
そう言って秘部を舐め始め、それと同時に中心を扱き始めた。
「あ、ん……っ、あっ、はぁ……」
力なく旭陽の頭を押すが、同時に来る快感に力が入らない。
「もう……イく……は、離して……!」
その瞬間、シオンは自分の腹に吐精したものが飛び散った。
「あ、あ……っ……んっ……」
快感の余韻で暫くシオンは呆然とし、意識が飛びそうになった。
「気持ち良かったか?」
旭陽は満足げな顔を浮かべ、シオンの髪を撫でた。
「もう……寝る……」
シオンは快感の余韻に浸ったまま、気を失うように眠りに落ちた。
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