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第11話
その日は激しい雨が地面を叩きつけていた。
目が覚めてから、一週間が経っていた。
この一週間でなんとかベットの上で起き上がれるまで、体は回復した。
ブラウがつけた「アル」という名前は、病院内で浸透したようで、看護師やみんなに呼ばれるようになった。
まだ、それに馴染めない俺だけが、それを他人事のように聞き流していた。
朝から降り続く雨は、一向に止む気配がない。
地鳴りのように鳴り響く激しい音に、胸の奥が焼かれるような気がする。
チラリと見た、窓の外はどんよりと沈み、薄暗かった。
耳の奥で嫌な音がする。
少し前まで聞きなれていた音のはずなのに、だんだんと頭の中を支配していく。
大勢の人間が走る音、絶え間なく続く銃声、大きく重量のある車が走る音。
様々な音が、体までも支配してきて、呼吸をおかしくさせる。
体が呼吸を拒否するように、吸うことができない。
「っぁ…」
ヒューヒューと声にならない音が漏れる。
苦しくて、胸元をかきむしるが、全く楽にならない。
「っひ…たっ…けて」
「おい!どうした!」
このどうしようもない状況をどうにかしたくて挙げた声に重なるように、焦った声が聞こえた。
何とか顔を上げると、緑の瞳とぶつかる。苦しくて、その白衣の襟をつかむ。
「落ち着け!ゆっくりと息をするんだ。俺の呼吸に合わせろ」
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