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第18話 sideディット

初めての派遣先は、未発展国の貧困地域の救護活動だった。貧困で栄養状態も悪く、衛生面も最悪と言って良いような場所だった。そういう地域があるのは知っていたが、実際に目にした現実は酷だった。 ひたすら、必死に働いた。ここで逃げ帰ったら、負けな気がしてしまったから。なにより、自分が働いて、笑顔になる人たちを見る事にやり甲斐を感じていた。 そこでの任期が終わると、次は戦地に派遣された。 ここで、本当の地獄というものを体験したのだ。いくら手を尽くしても、生きる人間より死ぬ人間の方が多く、自分の無力さに何度も絶望した。飛び交う銃弾への恐怖と、引っ切り無しに運ばれてくる患者で眠れない日もザラにあった。あの人が言っていたのは、こういう事だったのかと、軽はずみだった自分を殴り飛ばしたくなった。 それでも、一人でも助けられるならと、戦地を駆け回った。最前線の病院とも言えないような環境での医療行為は、常に危険との隣り合わせだった。銃弾の雨の中を、今にも事切れそうな患者に必死で治療をした。 ただ、目の前の患者を助ける事しか頭になかった。 次の派遣先で終わりにしよう。そう思って来たのがこの病院だった。戦地からはそう遠くないが、以前いた所に比べれば、随分と静かだった。 残す任期もあと僅かとなったある日に、その子は運ばれてきた。

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