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第23話

結局、その後は寝れずに朝を迎えた。暗闇の中で、静寂を保っていた人たちが、また忙しなく動き出す。 その人の流れを、何を思うでも無く、ただ見つめていた。 「おはよう。少し顔色が悪いな。」 気怠そうな顔をした、ディットがベッドの横に立ち話しかけてきた。 彼の方を見る。やはり、大地の色をして、金色の髪が朝日を受けて輝いていた。 「…きれい。」 「ん?何がだ?」 「髪も、瞳も」 そう返すと、少し照れた様な表情をした彼は、頬を掻いた。 それから、左足をみる。彼は立てると言った。 だから、立たなければならない。 「ねぇ、どうしたら立てる様になる?」 「杖を用意してやるよ。なんなら、簡単な義足も。それで、訓練したら、また立てる様になるさ」 「義足がいい。出来るなら、走れる様になりたい」 そう言って、再び彼の方を見ると、少し怖い顔をしていた。 「立って走れる様になったら、どうするんだ?」 先程よりも、随分と低いトーンで聞いてくる。 答えは決まっていた。それ以外の選択肢なんか、考えられなかった。 「…戻るよ。」 みんなが俺を待ってるから。 更に眉間に皺を寄せたディットは、俺の髪を撫でる。たまにやってくれるこの行動は、心を温かくしてくれて好きだ。 何度も何度も、繰り返し撫でてくれる手に、瞳を閉じた。

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