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ペナルティ

 俺がささやいた瞬間、佐倉は固まった。 (げ。急に止まんなよ。)  奴にバレるだろ。  急いで制服を脱がし終えると同時に、佐倉の体を思いきりベッドに叩きつけながら 「手間とらすなよ!」  と言ってみる。  すっかりおとなしくなった不器用な佐倉のかわりに、制服をわざと乱暴にベッドの外にほおってから、さも嫌そうに村崎に向かって「じゃー始めます!」と声を荒げる。返事はない。 「ひ…」  俺の言ったことが通じてないのか、佐倉の膝を広げて中に入り込むと、佐倉は、小さな悲鳴をあげて足をこわばらせた。  いや、わかってても受け入れられるような体勢と状況じゃないよな。  4台あるカメラのそれぞれの位置を考えながら、佐倉のそこが自然と死角になるような位置を探る。  佐倉の膝を軽く立て、俺の制服の裾で隠してみた。  手を動かしてみるが、佐倉の動きがまったく無い。 (ちょっとは声出したりしてくんないかな。)そしたらすぐ“イキました”って言えるのに。  そこで、わざと一回“芯”を指で軽くなぞってみた。 「は、っ!」  佐倉は途端に全身を痙攣させて声をあげた。  思った以上に反応があって、ちょっとビビった。完全に油断してたのかも。 「…イったよ、村崎さん。」  右手をシーツに押し付けて、佐倉の液を拭う“ふり”。 『クククッ』  喜んでいる。よかったな、村崎。 『なんだか、地味~だね、やり方が。』  どうだっていいだろ。イかせたっつってんだから。 『どうせならくわえるとかしてみたら?』  …なんだと? 「…こいつ、今イったばっかだから、しばらくは無理じゃないすか。」 『大丈夫だよ。“ふり”だったんだから。』 「…!」  テレビの向こうから、楽しそうな笑い声が響く。 『かわいかったけどね、助け合ってるキミたちは。』 ――バレていた。最初から。 『丸見えなんだよねー。マイクとカメラは、その4台だけだと思ってた?』 (くそ…。) 『立花くんは悪いコだよねえ。佐倉くんは純真でいいコなんだから、ダメだよ、悪いこと教えちゃ。』  クスリが、もらえない…。  佐倉を見る。表情はわからない。 『…おクスリ、欲しい?』 …? 『今から僕が言うペナルティをクリアして続けられるなら、チャンスをあげてもいいよ。』  ペナルティ…。…なるほど。 「…やります。なんすか?」 「…たち「だまってろ。」  いいさ。なんだっていい。佐倉はともかく俺ならうまくやれるだろう。  ここまできて、収穫なしで帰れるか。 『では、ペナルティは、佐倉くんに受けてもらいます。』 (…え!)  佐倉に!? 「俺が仕掛けたのに!?」  村崎はケラケラ笑った。 『完っ全に自白しちゃったねえ立花くん。キミ、そういうところ、ほんっとにかわいいよね。』  ウサギたちをにらむ。 『立花くん、そのテレビの下に引き出しがあるよね。開けてみて。』  佐倉…。 「…ごめん。」 思わずつぶやく。と、佐倉が答えた。 「…いいよ。…どうせ、イくふりなんて、出来なかったし…。」  震えている。本当に泣き出してしまいそうだ。 『早くしてよ立花くん。ちゃんと指示に従ってよね。あのーそれからキミね、少し黙って。今からは佐倉くんにも僕にも、なにも話しかけちゃダメ。…これ以上僕を怒らせないでよね?』  イラついている。 …わかったよ。  ベッドから降りてテレビの前に行く。  木製の、横長の引き出しを開ける。  木と接着剤のにおいだろうか、少し酸味のある特有のにおいが鼻をつく。  まず、赤い縄跳びが目に飛び込んだ。紐はビニールで、グリップは白いプラっぽくて、小学生とかが使うような、安っぽい感じの縄跳びだ。 (…――ああ…。やっぱり出たな…。)  あの緑色の錠剤もある。透明なガラスケースの中に、今日は、2錠。俺用と佐倉用にだろう。  それから、白い薄手のゴム手袋。あと、…携帯用のシャンプー?プラ容器に入ってる… (げ…) …違う、ローションだコレ…。 『気に入ったものはあった?どれを使ってもいいけど、赤いソレは必ず使ってもらうから。あとは、佐倉くんが早く気持ち良くなれるようなものを選びましょう。』 …なんだよそれ…。 (“赤いソレ”って。)  “縄跳び”って言えばいいじゃん …いや、奴は佐倉にプレッシャーをかけたいんだ。アイマスクをした佐倉には、“赤いソレ”がどういう道具なのかわからない。佐倉の不安をあおるための、くだらない作戦。  緑色の錠剤が一番“早い”ことはわかってるけど、クスリのせいで狂ったように感じまくる姿なんて、佐倉が一番見られたくないものだろう。村崎の最近の“お気に入り”であるそのクスリは、飲むと、理性が狂う。体中が性感帯みたいになって、とんでもないことになる。しかも、ひどくまずい。 (…終わらせてやるよ、スグ。)  ゴム手袋とローションを取ってテレビの前に置く。 (悪い、佐倉。) 『選んだね。じゃ、とりあえず赤いソレで、佐倉くんの手首をしばってから、白い部分を佐倉くんの頭の上のマットに入れ込んで固定してください。』  無言で言われたとおりにする。  佐倉もおとなしくしていた。相変わらず、異様に冷たい指先。緊張してるせいだろう。 『長さはもっと短くして。』  縛られた佐倉の手首は、最終的に佐倉の頭の上まで持ち上げられて、佐倉は、視力だけじゃなく腕の自由までもを奪われる格好になった。  でも縄跳びのグリップは不安定で、佐倉がちょっと引っ張っただけでもすぐにマットから抜け出てしまいそうだ。  事実、さっきから佐倉は自分の手首に巻きつけられた縄跳びを、恐る恐る擦ったりしていて、それだけでグリップはもうぐらぐらしている。これじゃ固定の意味はない。 (これが、佐倉への“ペナルティ”?) 『白い部分がマットから抜けてしまったらゲームセットね。腕を引っ張らないようがんばってね佐倉くん。じゃ、始めようか、立花くん。』 …そういうことか。どこまでも性格の悪い奴。佐倉は縄跳びからあわてて手を離した。  怖くてたまらないだろう。俺が選んだ何らかの道具で、今度こそ本当にイかされる。  ここは、少し乱暴なやり方でも、さっさと終わらせたほうが佐倉のためだ。  ベッドを降りてテレビの前でゴム手袋をはめていると、一瞬ギュウッと音がして、後ろで様子を探っていたらしい佐倉が少し息を吐いた。  ベッドに乗ってすぐに佐倉の膝を開いて座り込む。 「…っ」  佐倉は驚いて、本能的に腕を跳ね上げようとした。が、グリップがことん、と音をたてると、はっとしたように上を向いて、それからまた天井を見てじっとした。細かく震える、佐倉の、形のいい薄いくちびる。  両膝を伸ばして俺のももに乗せると、佐倉の白い体がまた震える。 (行くぞ、佐倉。) 「は、っ!」  佐倉の体にローションを垂らすと、佐倉は小さく悲鳴をあげた。下腹部の筋肉が引き締まるように震え、佐倉はまた顔を横に向ける。  そこから、かすかに、歯ぎしりの音。   -------→つづく

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