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第3話

「あ〜今日も良い日だったぁ」 先程まで動かした身体を倒れ込むように床へと力を開放した。 「こやぎちゃん、お疲れ様。タオルと飲み物どうぞ」 朝風に上から覗き込まれたが堕落した身体はまだ動かなくて素直に受け取りお礼を言う。 「どうかな?下から見るイケメンは。あ、こやぎちゃんの方が火照った顔で1番可愛いよ」 「・・・お前の口縫ってやろうか」 先程まで動いてにも関わらず大して息が上がっておらず爽やかに笑顔を向けている朝風にムッとし更に言い返そうかとしたがそれは打ち消された。 「きゃあ!朝風くんかっこいい!ねぇバスケ部にはいってよぉ〜」 「かっこいいのは知ってる。部活は考えておくよ」 ぞろぞろと女バスの生徒が朝風の所に群がり騒がしくなり少しだるめの身体を起き上がらせて蓮達の所へそそくさと向かう。 「相変わらずれーちゃんモテるね〜」 「ナルシストのくせにモテるとかムカつく」 「「嫉妬ですか〜?」」 「なんでそこだけ揃うんだよ。してません」 (好きでもない奴に嫉妬なんてするかよ) 朝風の事は好きでもないが嫌いって訳では無いが苦手な部類だ。違う出会い方をしていたら朝風との関係はどのようなものなのか、今と同じようにクラスが一緒で認識があっても優と朝風は風貌が違うので関わることの無いかもしれない。運命とか信じていない訳では無いないが大勢いる生徒の中で平凡の優よりもっと自分に合う人がいる筈だ。 (何故、俺なんだ?) 女子に囲まれている朝風を横目で見ながら無意識に溜息をつきながら、帰り支度をする。 「こやぎちゃん帰るの?なら一緒に行こうか」 「1人で帰る」 部屋隣なのに?と朝風が言う通り寮の部屋は隣である。クラスは仕方がないとしても寮まで朝風が裏で手を加えたのかと聞いてみたが本当に偶然らしい。 寮は学校の敷地の別棟にあり差程離れていないので寝坊しない限り遅刻は無い。体育館から行く方が1番近く裏口から抜け、足早に寮へと向かう。 「スリーポイントシュート決めた僕どうだったかな?あれで美しいと思わない人はいないよね」 「そうだな」 適当に返事をして寮へと向かった。差程遠くない寮にたどり着いて、2階にある部屋まで行くまでずっと喋り込んでいる朝風の話を受け流していた。廊下を突き当たり手前が優の部屋、そしてその奥が朝風の部屋となっていて、鞄から鍵を取り出し指した時、ふと影ができ目の前が暗くなる。 「でもね、こんな僕に1人だけ振り向いてくれない子が居るんだ」 存在をあまり意識していなく背後に朝風がいるのに気づいても身体が動かなくて心臓の音が早まり口を開いたのがやっとの事だ。 「・・・手を離せ」 それと同時にドアに左手を付け右手は鍵を持つ優の手をゆっくり右に廻しカチッと開く音がその場に響いた。 そのまま部屋へと入るまで一瞬の出来事で抵抗することが出来ず、気づいた頃には部屋の中にいた。 「いつも断られるから入るなら今かなって」 抵抗しても既に部屋の中に朝風が我が物顔で目の前にいて手を振り払おうとしても離さず掴んだまま。 しまいには靴を脱ぎ出して、更にしゃがみこんで優の脹脛を持ち上げ靴を脱がしていく。自然な流れでこなしていく朝風をじっと見下ろしていた。 「ん?・・・ああ、お邪魔します」 「いらっしゃ・・・って何自然に脱がしてんの!帰れって」 その内にね、とウインクしながら立ち上がり引っ張られ寝室へと進む。 「うーん、これがこやぎちゃんの部屋、こやぎちゃんのにおいか。いいね」 (うわ、出た変態!) いつもこうだ。朝風本人は素で言っているのであろうが朝風のこいうところが苦手のひとつだ。顔がイケてなかったら気持ち悪がられて終わるのに朝風は違う。顔が良いからこそ嫌悪感は持たれず良しとなる。優は自分が言ったら変態だと殴られるに違いない。 「おい、いい加減手を離せって」 「今日は一段とツンツンしているね?ここには君と僕と2人だけだ、デレてもいいんだよ」 (誰がお前の前でデレるか!1度もデレた事なんてないわ)

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