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第4話

とてつもなく心地が悪い。朝風から距離を取りたいのに未だに掴まれている。溜息を漏らして朝風に告げた。 「着替えたいから手を離してくれない?」 今度は素直に聞いてくれてやっとかと肩の力が落ちた。ブレザーを脱ぎクローゼットを開けハンガーにかけていく。シャツを脱ごうとした時後ろからまた声がした。 「ねえ、さっきの言ったこと覚えてる?」 「は?なんのことい、ぁっ!」 背中から腰にかけぞわぞわと震え反応的に振り返ると怪しい笑みを浮かべた朝風と目が合う 。首元に触れられる。 「肌といい全てが綺麗だ。感じて漏れた声までも可愛らしい。やっぱり手に入れたい」 また手掴まれ朝風は優の手首を自分の口許に近づけちゅっと音を立て口付けた。 急激に早くなる心臓の音と自分の中の危険信号が鳴り響く。なのに身体が動かない。10センチ以上の身長差もあり見下ろされ恐ろしく怖い。 「取って食いやしないよ。迫られて怯えてるこやぎちゃんを見てみたかっただけだ。僕は紳士だ」 先程の威圧感が消え颯爽とした笑みに代わりほっとしたのも束の間、優の唇に軽く触れる程度だが朝風のものが当たる。 「・・・・・・き・・・き、き、く、くくくち・・・」 そんな優を見て朝風は軽くふっと笑ったがまた顔を近づけて2度目のキスをされる。次は先程と比べて強く当てられ何度か角度がついたキスだった。 「むっ、ちょ・・・んっ!」 吃驚し口を開けた瞬間を朝風は見逃さなかったのかその隙間にぬるりとした物が口内を乱した。一気に全身に熱が回り電気が走ったようにゾクゾクと何かが波立つ。 (苦しい・・・のに、なんか、なんでか気持ちいい) キスというのは初めての優だった。なのに初めてのキスを男にしかも苦手としている奴に奪われてしまった。ショックという言葉が1番合うのだが今の優にはそんな風に考える余裕すらなかった。 「おっと、危ない。こやぎちゃんは軽くて小さくて可愛いね」 息継ぎの仕方もガクガクと震えた足で上手く立っていることが出来なくて崩れそうになり、それを朝風は抱き寄せて持ち上げた。 ベッドへと運ばれ寝かされて何か言いながら優のボタンを締めている朝風を朦朧した目で眺めていた。段々近くなる朝風の金色の頭が首筋の辺りに当たりくすぐったいのとチクリとした感覚がありビクリとする。 「また明日ね」 (何が起きたんだろう・・・ねむ、たい) 眠気が一気にやってきてゆっくり瞼が落ちて白い天井が見えなくなりやがて意識が遠のいてすぅと寝息を立て眠りについた。

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