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第7話
「なんだよ、あの意味ありげな笑みは!」
午後の授業が頭に入ってこず、昨日の夜から現在までずっとモヤモヤしていた。何もしてこない事には嬉しい事なのに、意味の分からない変な笑みがずっと残っている。
「おーおー今日はどうした?夜のオカズがいまいちでイライラしてんのか?」
「蓮じゃあるまいしそんなないでしょ〜。けどゆーちゃんの夜のオカズ気になる〜!」
教室に入ってきては直ぐに席について唸りながら肘をついていた優は昼休みまで姫路兄妹と会話していなかった。そんな優に何か感じ取って話をかけないでいた2人だったがやっと声出した優を挟んでいつものやり取りが始まる。
「は、はあ!?俺がそんな事する訳ないだろ!!」
ガタンと勢いよく立ち上がり声出したのを周りの生徒が静まり視線は優に集まり、自分が大勢の前で暴露していて顔から全身へと熱さが回った。
「よしよし。ゆーちゃん冗談だよ。はい、座んなさい」
優を嗜むように凛に頭を撫でられ顔を手で隠すように椅子へと座り直す。
「蓮のせいだからな・・・」
俺だけかよ、と謝る気もない蓮は持っていたスマホを持ち上げて入口へと向け、何かを写真撮っていた。
それを見た凛は駆け寄ってスマホの画面を覗いていた。
「「呼び出し・・・告白」」
2人を見て声を合わせて言っていて振り向いて見てみるとニヤニヤした姫路兄妹がいた。不思議にその方向を見てみると金髪で高身長のナルシスト・朝風と黒髪で後ろにポニーテールをした可愛い女子と話をした後、教室を出ていった。
「「モテますね〜」」
視線を感じて振り向いてみると兄妹揃って怪しく笑みを浮かべていて目をそらす。
(なんだよ、俺には関係ないし・・・)
朝風が誰に告白されようが誰と付き合おうが関係ない。それでちょっかいを出されないのであればより良いこと。平和で平穏な高校生活を過ごせるのだ。
考えていても腹は正直で鞄から自分で作った弁当を取り出した。
部屋には贅沢な程にキッチンもついていて時間ある時は料理をするのだ。親が共働きの為兄弟達に料理していたので得意だった。
「ゆーちゃん私のおかずと交換しよ〜」
「私もご飯たーべよ。ゆーちゃんおかず交換しよう。はい、お兄ちゃんのお弁当」
「凛・・・その呼び方、なんかやったな?」
凛は2つの弁当を取り出してもうひとつを蓮に渡すと席について開いくと綺麗に詰められた女の子らしく中身はキャラ弁だった。2人は寮に住んでいないから実家から通っているが、弁当だけは蓮の分も凛が作っている。
「げ。凛、またやったな」
「昨日は晩ご飯食べないでお菓子ばっか食べてたでしょ?だから野菜いっぱーい入れて置いたからね?」
気になって蓮の弁当を見てみると確かにびっしりと鮮やかに野菜が入っていてうさぎの形をしているのに怒りマークを付いたおにぎりが真ん中に置かれていた。姫路兄妹の喧嘩は殆ど見ないが、昨日のことを予想すると妹の言葉を聞き入れなかった兄が知らずに怒りを買って凛の目が笑っていない笑みと共にちょっとした逆襲が行われていた。いつもはのんびりした凛のに怒ると背筋が凍るほど怖かった。凛が蓮を「お兄ちゃん」呼びする時は何かお願いする時か裏がある時だそうだ
(こ、こえ〜。凛を怒らせないようにしよう)
ブツブツ言いながらも妹のお弁当を食べる蓮を見て笑うといつもは優をからかっていたのに妹には勝てずに蓮は整った顔を歪ませて不貞腐れたような顔した。
食べ終え残りの時間を3人で談笑し合っていた頃先程出ていったからやっと戻ってきた近づいてきた朝風がいた。何かしてくると身構えて朝風をみると胸元があいていてネクタイはしていなかった。どこか厭らしく艶っぽい色気が漂っていた気がした。
「朝風ー隠せよ。ここに小学生並の知識しかないやつがいるんだからさ」
蓮はちらりと優を見てなんだか馬鹿にされた気がしたしなくもないが、そんな朝風をみて胸が高なった。
「れーちゃん不純でーす!逮捕〜」
「大丈夫。最後までしてないから」
そういう問題かよ、と蓮に続いて凛までも朝風に何があったのか理解して優を取り残して3人のやり取りが行われた。
(俺だけ置いてけぼりかよ・・・)
朝風を睨みつけていると目が合い、直ぐに逸らせば良かったのに何故か目を離せなくていると距離が近づいて耳元で低い声が響いて、全身が電撃が走ったように痺れた。
『君を食べるのは僕で、僕を食べていいのは君だけだ』
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