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第8話

「今日も良い日だったな、蓮!」 今日はサッカーに誘われて蓮と共に参加した。珍しくも朝風はいなくてほっとした気持ちとあの自販機前のキスから最近全くと言っていいほどちょっかいを出してこない事に違和感と調子が狂っていた。 (俺的にはそれでいいんだ!あいつのこと思い出すな!) 「ゆーちゃん今日も輝いてたよ〜」 「お・・・おう」 駆け寄ってきた凛にタオルを渡されて頭を撫でられ褒められると悪い気がしない。 「珍しくデレたな」 「・・・ツンデレみたく言うな」 ツンデレだろ、と蓮の言葉を聞き流して帰る準備をする。 校門を出て蓮と凛と別れて寮に向かうと数メートル先にふらついたようにも見える朝風が入っていくのが見えた。 姿が見えると心臓がざわめき出すのを備えるように朝風は関係ないと頭を振り、朝風と鉢合わせしないように中に入っていくのを数分待ってから寮へと進んだ。 「まじかよ・・・」 ぽつりと声を漏らした優の目線の先には待合室にあるソファーに寝そべっていた朝風を目にした。 だが、いかにも苦しそうに息をして頬はほんのり赤く、ブレザーは全開でシャツは3つほど開けた姿はとてつもなく妖艶さが漂っていた。 その姿をみて生唾をゴクリと飲み込んだが、すぐさま気を取り戻して無視して部屋に戻ろうとすると、後ろから何か落ちる音がした。 振り向くと朝風がソファーから落ちたよう咄嗟に駆け寄った。 「おい!?身体、あつ!朝風起きろよ!」 「・・・はっ、こ、やぎちゃんか・・・」 触れると熱があるんじゃないかと言うほど身体が火照っていた。 例え嫌いなやつでもこんな状態の朝風をほっとくことは出来なくてため息をついて連れていくことにした。 「お・・・重たい。なんで俺が・・・こんなやつ・・・」 グチグチと言葉を漏らしながらも肩を貸す。身長差があり担いでいると言えない気がしてフラフラする朝風が何とか歩いているという感じだった。 歩く度に朝風が熱い息を耳元で漏らす度に心臓がうるさく騒ぎ出す。 「つ、着いたぞ!鍵!」 部屋に着いて鍵を開けるように催促するが、頭が朦朧しているの反応が遅い。 「こやぎちゃん、ごめん。胸ポケット・・・」 仕方ないと本人が言う胸ポケットに手を入れると鍵が触れて取り出すとまた苦しそうに息を漏らした。 また高鳴る胸と少し緊張しながら鍵穴にさして部屋を開け、もう少しと気合いを入れて玄関にゆっくりと朝風を下ろす。 「やっと着いたぞ。はぁ〜早く靴脱げ!それくらい出来るだろ」 「ごめんね、こやぎちゃん・・・。あとは、大丈夫だよ。早く帰った方がいいよ」 「お、おう。ちゃんと温まって寝ろよ!」 すんなりと解放され拍子抜けしたが、ずっとその場にいる訳に行かないので鞄を置いて部屋を出た。 ドアを背に落ち着こうとため息を1つして自室に戻ろうとした時、中から大きい物音がしてドア越しに耳をすますと微かに苦しそうな声が聞こえた。 ゆっくりドアを明け、中を覗くように確認すると玄関に居てさっきと数メートルしか進んでいないようだった。 「・・・やっぱりそんな状態じゃ無理だって、ほらベッド行くぞ」 「・・・こやぎちゃん、戻って来ちゃったんだ。心配になった?」 「違う!物音して頭ぶつけたんじゃないかと・・・気になっただけだ」 担いだ時、「優しいね」と言われたがただほっとけないだけで心配になったわけじゃない。 ベッドへたどり着いて下ろすと朝風から熱さは抜けていなくて、冷やすものを探そうと離れようとしたのにぐいっと引っ張られ、布団に身体が沈む。 同時に上から声が降ってきて、優の先には目が潤んでギラギラと瞳孔が開いた朝風と目が合い、鎖に巻き付かれたように身体が動かなかった。 「忠告を聞かなかった、こやぎちゃんが悪いよね?」

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