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第11話
何か肌に触れられているような感覚が眠りから起こされてゆっくりと目が覚める。見慣れない空間と置物で自分の部屋ではないし、昨日の出来事が思い出され何故ここにいるのか理解ができた。
昨日のことは恥ずかしくて思い出すのも嫌な気がするのに何故か頭はスッキリしていた。
薬とはいえ朝風の盛りに盛られた性欲は気絶する程、頼もしい程盛んだった。
なのに次を、求めるように先を求めるように朝風本人を心から求めていたと思う。
何か心の何がすぅと消えた気がしたのにそれを心のどこかに置いて知らないフリをした。
経験のしたことのないことばかり起きて、頭は空っぽで身体的には未だに痺れているように身体が怠いし思い出すと更にに下半身がうずうずした。
股を使われた後に向かい合わせにされ、お互いのものを合わせるように扱かれた。股の時は顔を見られなくて済んだのに整った顔が目の前で余裕のない表情と汗の流れた素肌が興奮に繋がった。
朝風で興奮するとは思ってもみなかったのに自分の声と朝風の息が混ざりあって室内の温度を上げた。
こぼれる声が恥ずかしくて塞いで欲しいと朝風の口に顔を寄せたがやっぱりしてこなくて鎖骨に吸い付くように顔を埋めた。
(・・・恥ずかしすぎる!興奮していたとはいえ縋り付くとは思わないだろ)
ていうか、時計を見ると8時過ぎを指していて完璧遅刻だ。週の最後にして遅刻。無遅刻無欠席だったのに今日でそれもおさらばとなった。
後ろから気持ちよさそうに寝息をたてて寝ている朝風から逃れなきれば学校には行けない。
「お前のせいだからな・・・」
腰に回っている手を避けてベッドから出ると下がすうすうして自分のものが露わになっていてべとべとしていて気持ち悪くて早くシャワーを浴びたい。
1つため息ついて床に散らかっていた下着とズボンを取って履き、上着がなくて見渡すと朝風の方に落ちていたのを見つけて取ろうとすると、腕を掴まれる。
「ごめんね」
声と手は朝風のもので謝られた事が意味がわからなくて怒りが湧き上がった。
「は?ごめんてなんだよ。今更手出してごめんてか?・・・こうなったのもお前が悪いんだよ!もう俺に関わるな!」
もうどうだっていい。あんなのただ気持ちよかっただけだ。少しも心なんて動いていない。こんなやつ好きでもない。
手を振り払って1度も朝風の顔も見ることもせずドアを大きい音をたて部屋から出た。
部屋に着いて突然疲れが出てきてドアに持たれて身体が沈んだ。何故こんなにショックを受けているのか何が悲しいのかわからないし整理がつかない。
「はあ・・・上着忘れた」
数分その場にいたが、学校に行こうと立ち上がったがその前に風呂場に向かった。
そんなに時間かけてられないのでさっと浴びることにして、頭は自然乾燥で何とかなるだろうとタオルで勢いよく拭いて制服を着る。
足りないのは上着だけ。取りに戻りたくないから諦めることにした。
走って校舎に入り、玄関で上履きに履き替えてそこからは早歩きで教室に向かった。階段を2段飛ばしで掛けていく。2階に着くと廊下は静かで教室から漏れる声は授業をしている先生達の声。休み時間になると大勢の生徒で賑わっているのにいつもと違うように感じて記憶に留めた。
ドアを開ける前に深呼吸してドアノブに手をかけて開けるとその音で一斉に目線を向けられた。
「あ・・・す、すみません。遅れました」
「小谷木、遅刻なんて珍しいな。席つけ」
返事をして席に着くと、教科書を取り出して、一日の始まりが最悪だとため息をついた。
全く授業が頭に入ってこなくて窓を顔を向ける。
空は青い。でも俺の気分は曇っている。入ってくる時あいつの席は空いていて、来ていない。それについてはほっとした。あんな言い方をしてしまった自分に後悔はあったけど悪いのは朝風だ、と思う。
(あ〜もう何が何だかわからん!)
頭をガシガシとして、それが先生に見られて当てられたのも気づいていなくて、後ろから椅子をトンと蹴られたのにびくりと身体が跳ねて立ち上がった。
「うわ!」
「小谷木、元気いいなあ!話聞いてたか?放課後職員室こいよ」
「は、はい・・・」
蹴ってきたのは後ろの席の蓮からで助けて貰ったという訳ではないがなんともまあ情けないと反省した。
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