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第15話

春は過ぎて雨の日が多くなった6月、ジメジメとした暑さが肌に触る。 そんな中学校では体育祭が行われ、今日という日は快晴に恵まれ意気揚々と気分も上がる。綺麗な整備された緑のグランドには全校生徒と教師が集まっていた。開会式が始まるまでストレッチをしているもの、仲の良い友達と会話している生徒たちを見ながら、優は木陰で凛に日焼け止めを塗られていた。 「次は服脱いでね〜」 「なんで脱がないといけないんだよ」 塗るところなんて見えてる範囲でいいと思っている優なのだが前に日焼けして赤くなっているのを凛に見られてから肌はきちんとケアしないとシミになると怒られた。別に男だからいいのにとぼそっと言ったのを逃さなくて、男とか関係ないと更に怒れた。 こんな日に長時間も怒られるのは嫌なので仕方なく上着を脱いで塗ってもらうことにした。 「ゆーちゃんは油断しすぎなの。真っ黒いゆーちゃんなんて見たくない!」 「男は黒い方がい─痛っ!蓮抓っただろ!」 横で寝っ転がっていた蓮は欠伸をしながらしらっとした顔を向けた。 「ふぁ〜。目の前に豆粒あったら掴むもんだろ」 小さくて悪かったなと足で連を一蹴りしたが、蓮からは反省の色すら見えない。 塗るのを終えた凛は思い出したように朝風のことを言う。 「れーちゃん来ないと思ったら捕まってたんだね、あそこ」 凛の言葉に反応して見ると女子たちに囲まれた朝風が見える。 (体育祭始まる前からあんなに集まってたら競技のときどうなんだよ・・・) 「気になるの?」 「・・・別に」 気になっていないと素っ気なく返すと2人のふ〜んと揃った声が何か知っているような気がして胸が跳ねた。 助け舟と言ったところか開会式が始まる放送がかかったのを聞いて立ち上がり2人を見ずに先に歩いていく。 「ほら、開会式始まるってよ!行くぞ」 登壇を前にして教師の指示で出席順でどう見てもそこは身長順だろと突っ込みたい所だが指示なのだから仕方なく並ぶ。 前に5センチほど高い男子が居て前が見えなくなる。 (だから嫌なんだよ・・・。そういえば朝風は先頭だったよな。恥ずかしくて縮こまってるに違いない) 気になり少し身体を乗り出して見てみることにした。頭2つ分出ていて縮こまってるどころか凛としていて背筋が見えた。そして後ろの男子も朝風程ではないが背の高いやつだった。 忘れていたがクラスの男子は基本高いやつで構成されていたのだ。 (そうだ、蓮でさえ高いのに俺は小さい・・・豆粒だ) 目の前の高い壁にがっくりしながら開会式がまだ終わってもない中、腹の何かが湧き上がって優は密かに決意をした。 「身長だけが全てじゃない・・・力だ、結果だ!俺の実力を見せてやる!」 ぶつぶつ喋ってる優を式が終わった途端に避けられているのを気づかなくて更に姫路兄妹には見られ笑われていた。 「凛、あれ見ろよ。小谷木また変なスイッチ入ってるわ。写真撮っておこうぜ」 「はいチーズ!」 楽しい体育祭が始まったのだった。

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