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第8話
助け出した白鳥暁は、すでにボロボロの状態で、連れだそうとした清高自身も、瑛士が放った銃弾によって左腕を負傷した。事件はその後、唯人がすべてを片付けたが、その後も行方しれずの瑛士を、八方手を尽くし探させていた。
『奴を暁と同じ目に合わせたい。そう思うのが当たり前だと思わない?』
美しい主人が穏やかに自分へとそう告げた時、背筋が凍り付くような怒気を感じたことは、まだ記憶に新しい。
「なぜ、そこまで白鳥君を狙う。そんなに気に入ったのか?」
尋ねるが、今度は沈黙を決め込むことにしたらしく、薄い唇を引き結び、鋭い視線を向けてくる。
「まあいい。時間はたっぷりある」
唯人には、どう扱おうが構わないと言われていた。
捕らえた後、身柄が欲しいと申し出たときは驚いたような顔をされたが、旧知の仲だからケジメはきちんとつけたいのだと説明すれば、『いいよ。本当は海に沈めてやりたいところだけど、工藤が何か欲しがるなんて初めてだから、あげるよ』と、悪戯っぽい笑みを浮かべ、『逃がすなよ』と念を押された。
「そう睨むな。今日は気持ち良くしてやるから」
言いながら、緩急をつけて瑛士のペニスを上下に扱くと、反抗的な瞳に反し、掌の中で徐々にそれが硬度を増して成長していく。
子供の頃、天使のようだと形容された瑛士の美貌は、二八歳になった今、大人の色気と凄みを増し、一部のAVマニアの間で、見る者を虜にする魔性と呼ばれているのにも頷けた。そんな瑛士を手元に置いた佐伯という名前のヤクザは、彼の美貌に惑わされないという一点で、一流だったと言えるだろう。
「……っ」
回想に耽りながらも、掌で雁を強く擦れば、眉間に深い皺を刻み、必死に快楽を逃そうとしているのが分かるから、喉から笑いがこみ上げた。
「無駄だ」
口端を上げ、嘲るようにそう言い放つと、悔しそうに口を歪めて逃げるように顔を背ける。拗ねたようなその表情に、既視感を強く覚えながら、清高は瑛士を今日一度目の絶頂へと導いた。
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