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第11話
「んっ……くぅ」
軽く歯を立ててみたものの、噛みつかない瑛士の口内を指二本でかき回し、「いい子だ」と囁いきかけると、ようやく此方を向いた双眸が鋭い視線を向けてくる。
「分かってる。出したいんだろう」
物言いたげな視線を受け流し、笑みを浮かべて言い放つと、清高は口から指を引き抜き、サイドボードへと腕を伸ばした。
そこに置かれた様々な器具の中から、真空パックされているカテーテルを取り出し、見せつけるように袋を破くと、驚きを隠しきれないように瞳が大きく見開かれる。
「それは……嫌だ」
掠れた声で訴えられ、清高は口角をさらに上げた。
「嫌……か。白鳥君も、お前に無理矢理犯された時、そう言ったんじゃないのか?」
〝目には目を〟という考え方は、あまり好きではないけれど、申し開きもできないような現実を彼に突きつけた。そんな言葉で反省などする気性では無いと分かっているが、だからこそ、一から体に教え込まなければならない。
「アキとは合意だ。DVD見たなら知ってんだろ。アンタが大事に守ってきた小僧は、自分から股開いて犯してくれって頼んできた」
憎まれ口を叩く元気はまだ残っているらしい。しかも、こんな時だけ悪魔のように妖艶な笑みを見せるから、常に冷静な清高でさえも心を奪われそうになった。
「言いたいことはそれだけか」
まだ萎えたままの瑛士のペニスを掴んでから、医療用ジェルをその先端へと垂らしていく。調べさせた情報によれば、瑛士は絶対に受け身にはならないはずだから、医療行為の延長といえども、かなり屈辱的だろう。
「ふっ…… うぅ」
カテーテルの先端を、尿道口へと滑り込ませると、苦しげな呻きが鼓膜を揺らすが構わず奥まで差し入れた。焦らしながら怯える様子を楽しむのも一興だが、今日はこれから白鳥暁の、アルバイト先へ彼を迎えに行かなければならない。
「見ろ。出てきた」
目盛 のついた透明な器を彼の顔の横へと置き、尿道口から出ている管の先端をそこへ差し込めば、反対側を向こうとしたから片手で頭を押さえつけた。
「いいか、瑛士。今のお前は、排泄ですら自分の意志じゃできないって事を忘れるな」
ゆっくりと、教え込むように耳のそばで囁くが、チョロチョロと琥珀色の液体が溜まっていくのを瞳に映し、悔しそうに口を歪める瑛士は何も答えない。
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