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第12話
「それから……舌を噛んで死のうなんて考えてるなら止めておけ。やっと捕まえたのに、二度と会えなくなるなんて、俺が耐えられないからな」
本音を隠すつもりは無いから清高はサラリと瑛士に告げるが、こう言えば彼が自ら命を絶つことはないと確信していた。
「意味……分かんねえ。なんで俺が死ななきゃなんねえんだよ」
「考えてないならいい。三時間ほどで戻るから、暴れるなよ」
独り言のような呟きにあえて答えることはせず、尿の溜まった容器を掴むとそれをベッドの下へと置きながら、「したくなったらいつでもどうぞ」とにこやかに告げて部屋を出た。
カテーテルを挿入されたままというのは、彼みたいなタイプにとって、精神的苦痛がかなり大きいことを知っている。
閉めたドアの向こう側から、「ぶっ殺してやる!」と威勢良く叫ぶ声が聞こえてくるけれど、それすら耳に心地よく感じ、そんな自分に呆れた清高は、自嘲的な笑みを漏らして「だめだな」と呟いた。
***
もうどれくらいの時間が経つのか、よく分からなくなっている。
「可愛いもんだな」
「ふっ……あぅっ」
尿道を満たしている金属の棒……ブジーと呼ばれる器具の先端である一点を押された途端、鋭い愉悦に腰が浮き、まるで達した時のように下腹がヘコヘコ揺れ動いた。
「ここ、気持ち悦いだろ。反対側から同時に押すと、ヨガり狂うらしい」
「やめっ……そこ、押すんじゃねえ! この変態野郎っ、ぶっ殺すぞ!」
凄んでみても相手はまったく怯まない。それどころか、ブジーの柄を指でトントンと叩きながら、愉しそうな笑みを浮かべ、「殺してみろ」と告げてきた。
体の変化は清高が部屋を出ていってすぐに訪れた。ペニスが突然熱を帯び始め、瑛士の意志などお構いなしに、痛いくらいに膨張したのだ。
カテーテルの挿入時、ペニスへ垂らされたジェルの中に、なにかが仕込まれていたというのはすぐに理解したけれど、だからといって拘束された不自由な体じゃ熱を収める術もない。
そんな状態で数時間。意識を落とすことさえできず、必死に耐えた瑛士だが、帰ってきた清高によって、カテーテルを挿入したまま屈辱的な射精を強いられ、流石にかなりのショックを受けた。
その時は、怒りよりも諦めが勝り、このまま意識を闇に落とせば一時的には楽になるという考えが、頭の隅を過ぎったのだが、それすら許さぬ清高は、今度はブジーを取り出して――。
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