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第14話

 清高は、瑛士の腰が立たなくなるのを見計らい、何もできないと分かったうえで拘束を解いたのだ。こんな状態で彼に挑んで勝てる要素はどこにもない。だが、だからといって言いなりになど、到底なれはしなかった。  ならばせめて、抵抗の意志を現すために、自由になった腕を動かし、ペニスの先からブジーを抜き取ろうとするが、寸前で手首を掴まれ、それを後ろへと捻り上げられる。 「うっ……くぅ」 「どうしても逆らうってことか」  うつ伏せに床へと押しつけられ、痛みに瑛士が小さく呻くと、僅かな怒気を纏った声がすぐ真上から降りてきて……体を捩って逃げようとすれば、バシリと打擲音が響き、重たい痛みと打たれた熱が臀部へと広がった。    *** 『瑛士、聞いて。援助を申し出てくれる人が現れた。俺の成績がいいから、医師になるまでの学費と、一人暮らしの費用まで出してくれるって……夢みたいだ』  瑛士が小学五年生の時、高校三年生の清高が、嬉しそうに告げてきたのは今でもはっきり覚えている。  その時は、喜ぶ清高の様子を見ながら、瑛士までとても嬉しくなった。  卒業すれば施設を出て行く決まりなのは理解していたが、時折顔を見せに来ると清高は言ってくれたから……不安はあまり感じておらず、研修医になったら必ず迎えに来ると言われたことで、彼と一緒に頑張ろうなどと前向きな夢を抱いていた。だけど現実は、未来を夢に描くことさえできないほどに残酷で――。 「何を考えてる」 「あっ……ぐぅっ」  虚ろになった世界の中、低く囁く清高の声がやけに大きく頭に響く。  抵抗し、散々打たれた体中がかなりの熱を帯びているが、麻痺したように痛みはない。ただ、風呂やトイレで洗浄されたアナルの中を満たす玩具が、振動を強める度に、瑛士の体はピクリピクリと意思に反して痙攣した。  おまけに、ペニスを犯すブジーはいつしか太いものへと挿し替えられ、柄の部分が長いそれは、四つん這いでも先端が床へついてしまう。少しでも腰を落としてしまえば、さらに奥まで突き刺さるという寸法だった。 「こっちも、さわって欲しそうに尖ってる」 「いっ……やめ、や……あぁ」  もう情けない声しか出せない。胸の尖りを摘まれただけで、痺れるような快感が背筋を這い上がり、無意識にそこから逃げようとすれば、首輪を後ろへ強く引かれた。 「ぐっ……うぅ」 「きもちいいか?」 「……もちいい」  自分が散々してきた行為をなぞるような痴態を強いられ、悔しい筈なのにそんな感情も薄れるくらいの快楽に… 瑛士は背後を振り仰ぎながら、「イかせてくれ」と哀願する。我に返れば死ぬほど後悔するのだろうが、今の瑛士はそんなことすら考えられなくなっていた。

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