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第17話

 ライブの帰り、靖はひどくご機嫌だった。 「最高だったな~! な、秀!」 「うん」    正直、ベースが少々耳障りであまり楽しめなかった秀だ。  だが、ここは靖に合わせておいた。  彼のご機嫌を、損ねたくない。  嫌われてまで本音を語る必要はない、と思うからだ。 「なぁ、今から俺ん家、来いよ」 「今から?」  もう結構遅い時刻だ。 「いいから、来いよ~」 「仕方がないなぁ、もう」  腕を引かれるように、秀は靖のアパートへ向かった。

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