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第21話

 そこで秀は、もう一つの点に気が付いた。  祐太朗の言葉は、いつも『~ないか』なのだ。 『今度の球技大会、同じ班になろう』ではなく、『今度の球技大会、同じ班になってくれないか』。 (靖と、まるっきり逆だ)  そこで初めて、秀は祐太朗と靖を比べた。  比べてしまった。  押しの強い、靖。  彼はいつも、断定的だ。 『今度の球技大会、同じ班になろう』の方なのだ。  そんな彼に振り回されることも、しばしばだ。  最たるものが、あのライブ帰りのセックスだった。  全てにおいて一方的だった靖の振る舞いに、さすがの秀も少々うんざりしたところだ。

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