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第29話

「何か、合わないな。俺たち」 「えっ」 「じゃあな」 「靖」  短い一言だった。  だが、それが別れの言葉ということは、秀には痛いほど理解できた。 「靖……」  明るかった、靖。  愉快だった、靖。  秀は、そんな靖が好きだった。  全て、過去形になってしまった。  想像以上に、喪失感が襲ってきた。  涙が、浮かんでくる。

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