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第50話 番外編 運命を訪ねて 3

はだけた浴衣を更に開くと、いつもより赤みを増した両胸の先は呼吸が荒くなっているせいで大きく上下し妙に色っぽい。 「ヤダとか言って、そーんな風に誘うの悪どいよなぁ」 「誘ってなんか」 唇で挟み軽く引っ張ると、茜の胸部はビクンと跳ねる。 「ぅ・・・やだぁ」 口では抵抗したって、どうせすぐに・・・ 茜の腰を撫でた手を下腹部まで滑らせ、下着の上からまだ柔らかいそこを弄る。 けど、揉んでも摩っても一向に硬度を上げなくて、どうやら「勃たない」と言ったのは本当らしい。 「ふ・・・ぅあっ、綾木っ、くすぐったい・・・」 弱く抵抗する茜の手のひらは熱くしっとりと汗ばんでいて、体に溜まった熱をどうにか逃そうとしているようだった。 立ち上がらない前をそのままにして、後ろへと指を伸ばすと湿った布の中で くちゅりと微かな水音がする。 わざとらしく音を立てるように指を動かす俺の手首を茜が掴む。 「やだ、って言ってるのに・・・。イけないのに、意地悪するな」 うるっと擬音がつきそうな茜の表情に煽られないわけがないだろ。 「茜はもう俺と番ってんだから射精する意味あんまり無いだろ」 「そん、な。だってそれじゃあ、スッキリしな・・・」 「だーいじょうぶ。その分、ナカでいっぱいイけばいいし」 うつ伏せになるように茜を転がし、腰を引き上げ浴衣の裾を背中まで捲り上げる。 蜜液が染みて色が変わった下着。その部分を布越しに舌で啄くと、中でひくひくと穴を窄まらせ、畳に顔を伏せた茜は「うぅ」と低く呻く。 茜が秘部を舐められるのを極端に嫌がるのはその行為に羞恥を感じるからってだけで、本当はこうされることが気持ち良くて堪らないということを俺は知っている。 その証拠に、少しだけ下着の前を膨らませ始める。 「や・・・っ、もぉ、直に・・・」 布一枚の隔たりがもどかしくなった茜は、遠慮がちにそう口にする。 下着を腿まで下ろし、入口を舌で擽りながら指を挿れ、ナカで膨らむ前立腺を押すと 「ぅうあぁっ、・・・あっ」 低い呻き声の尾を上擦らせる。 ぽたりと先走りを滴らせる前は緩く立ち上がっている程度で、触るとまだ柔らかい。 「きもちい・・・のにぃ、なんで・・・」 グズるような声色で腰を揺らす茜。 なんでって、そりゃ飲み過ぎたからだろーが、この酔っ払い。 海綿体に血液が集中しないせいなんだろうか。茜のナカはいつもより熱く敏感になっているようだ。少し動かすと、内壁は俺の指に絡みつき ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。 「ぁ、あっ、だめ あやきぃ」 自らの収縮だけで酷く感じてしまっている。 「指だけでも気持ち良さそうだな」 「やぁ、な・・・んで・・・? ほしいの、わかってる、くせに」 今にも泣きそうに震えた声。 誘ってなんか無い、って言った口だとは思えないんですけど。 「じゃあして。いつものおねだり」 「またっ、そんな、意地の悪いこと・・・」 振り返った茜が恨めしそうにこちらを睨む。 俺が「して」とお願いすることは別に意地悪なんかじゃない。カップルならそうして当然のことなのに、何故か茜は「慣れないから」という理由で頑なにしてくれないこと。 「言って。そしたらココめいっぱい擦って、奥も突いてやるから」 ここまで感じてしまって、茜が引き返せなくなっているのをわかっている俺はやっぱり意地悪かもしれない。でも、少しばかり狡くなっても茜の声で聞きたい。 躊躇いがちに吃音を漏らし、茜は意を決して息を吐く。 「る、・・・るい」 何とか聞き取れるくらいの小声で俺の名前を呼ぶ。 ゾクゾクと背中を興奮が駆け上がり、その感覚を何度も味わいたい俺は「ん?」と聞こえなかったフリをする。 「ぅぅ、る・・・い」 今度は聞き取れないとは言えないくらいの大きさの声。それでも足りない俺は 「もっと」 と言って、茜の後ろから指をゆっくりと引き抜く。 「ひぁっ、ぁ・・・塁っ、るい」 縋るように呼ばれて、思わず口元が緩むほどの悦が体中を駆け回る。 自分の番に名前を呼ばせるのが、こんなに愉しいなんて。 普段は苗字でしか俺を呼ばないこいつだからこそなのかもしれないけど。 「うん。茜」 張り詰めた自分の先端を濡れそぼった窄まりへ押し当て 掴んだ茜の腰を引き寄せると、収縮の速度を上げた内壁が痛いくらいに締め付けてくる。 「るい、あ・・・っ、あうぅっ」 半勃ちの先口から漏れ落ちる滴りが、真新しい畳の上を汚す。 ガクガクと震える腰を支え、埋めた屹立で茜の奥を抉り回すと 「あっ、ゃ・・・やだやだやだぁっ」 首を振り這って逃がれようとする。その姿が駄々っ子みたいでとてつもなく可愛い。 「あやきっ、だめっ、中・・・イ」 「『塁』、だろ?」 「塁・・・っ、る ぅ ああっ」 びくびくと体を震わせる茜。 狭く窮屈になった後ろが ふっ と緩んだ隙を突いてまた内壁を擦ると、凝りもせずまた締め付けるナカが収縮を繰り返す。 その度に涙声で喘ぐ茜を、もっともっと鳴かせたいと欲が出る。 俺だけのΩを快楽で屈服させて堕落させて、そこから永遠に這い上がれなければいいとさえ思う。 独占欲を全て茜にぶつけ、拒絶することは許さない。 ラット化した凶暴なまでの性欲で支配される思考と体は、理性では制御することが出来ない。 愛おしいと想う気持ち全てが性衝動になって、茜が泣き喚こうが気を失おうが、自分の気の済むまで犯し続けてしまう。 好きでいるだけで幸せだ、なんて思っていた自分が偽りだったと思い知らされる。 ハッと気付いた時に視界に飛び込んでくるのは、首筋から肩にかけて噛んだ痕や吸い付いた痕が無数に残る茜の姿。ぐちゃぐちゃに泣き腫らした目は虚ろで、勃たないと言っていた性器の周辺は白く濁る薄い粘液に塗れている。 はあはあ、と大きく上下する胸の先は真っ赤に膨れ上がって、俺が執拗に責めたんだと容易に想像できた。 「ごめ・・・、ん。茜」 こんな風に酷くしたいんじゃない。いや、きっとこうする事でしかαはΩを愛せない。 大切にしたい。だけど誰よりも傷付けて自分のものだと実感したい。 もう滅茶苦茶だ。 それでも 「好き、だぞ。塁・・・」 ボロボロの体で、必死に両手を伸ばして来る茜。 その手を取って引き起こし強く抱き締めると、安心したように俺の腕の中で茜は眠りに就く。 こんな俺でも好きだと求めてくれる。 愛しい愛おしい唯一人の俺だけのΩ。 「好きになってくれてありがとな。俺は愛してるけど・・・」 疲れ果て、ぐったりとした茜の寝顔に口付ける。 運命よりも深く繋がりたい。『好き』じゃ足りない。 なあ茜、早く俺と同じところまで来て。 だけど、茜の気持ちが俺の気持ちを上回る事はきっと無いんだろう。 なぜなら俺は、今までもこれからも、永遠に茜の虜だっていう自信しか無いから。

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