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第8話

 がさがさと草をかき分け、寿は四つ葉のクローバーを探していた。 「ここも、ダメかもしれない」  花壇の周りは、ダメ。  中庭も、ダメ。  そして、ここ校庭の東側にも、四つ葉のクローバーは見当たらない。  ここがダメなら、校庭の南側を探してみよう。  そう寿が考えた時、ふっと体に影が落ちた。 「よぅ、見つかったか?」 「友利くん」  返事を待たず、光一はその場にしゃがみ込んだ。 「友利くん?」 「お前、トロいから見つかんねぇんだよ。俺が秒で探し出してやるよ」  思いがけない助っ人が現れた。 「ありがとう!」  照れ臭いのか、光一は下を向いたままだ。  四つ葉のクローバーを見つけ出して、前園の最高の笑顔を拝んでやるぜ。  今はただ、この純粋な寿のために、幸せを呼ぶクローバー探しを手伝い始めた。

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