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第9話
朝、始業前の寿を捕まえ、光一は一つの提案をした。
「あのな、焦って10分探しても、見つからねぇと思うんだ」
「でも」
「お前、明日ヒマか?」
「うん。一日かけて四つ葉を探そうと思ってるんだけど」
それでいい、と光一はうなずいた。
「明日一日かけて、じっくり探そうじゃねぇか。だから今日は、体を休ませろ」
「でも早くしないと、校庭の草刈りが始まっちゃうかも」
「それは来週からになってる。だから、ラストチャンスに賭けるんだ」
寿は、意外に思った。
草刈りの予定まで、調べてくれるなんて。
そもそも、不良の友利くんが、どうして僕なんかの手伝いをしてくれるんだろう。
「とにかく、今日は休め。いいな」
「うん、解った」
その日、寿は久しぶりにゆっくりとした時間を過ごした。
昼休みも、光一とのんびりお喋りなどして過ごした。
そして、運命の休日がやって来たのだ。
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