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第27話
そして、光一の行いまで称えてくれたことにも感謝した。
顧みて、頬を染めた。
(先生。実は僕、ここに来る前その友利くんと……)
耳まで熱くなってきた。
うつむき、両手で頬を軽く叩いたところで、寿は大きな声を上げてしまった。
「大林先生!」
なんと今まで臥せっていた大林がベッドから降り、見舞いの品から一つの箱を取り上げているのだ。
寿の驚きもやはり気にすることなく、大林は軽やかに箱を掲げて彼に渡した。
「おいしいクッキーが、たくさん入っているぞ。友利と一緒に、食べなさい」
「はい!」
「四つ葉の効用はあらたかだな。腰が軽くなった気がするよ」
「先生、よかったですね!」
あまり長居をしては、と寿はクッキーをありがたく頂戴すると、病室を後にした。
これから行く先は、決まっていた。
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