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「生徒会?」  犯罪者だらけの学校に生徒会があるのか。滑稽すぎて笑えるな。 「あ、もちろん形だけの委員会だぜ。普通の学校みたいな、生徒会役員には色んな権限がある、とかはないから。っつかそんなのやってたら学校崩壊しちまうからな」  思ったことが顔に出ていたのか、鈴木が補足する。 「じゃあ何の為に?」 「あんまり分かんねえけど、とりあえず形だけだ。生徒会が仕事する行事とかなんか一個もないしな」  となると、学校行事は一切ないのだろうか。 「学園祭とかもないのか?」 「いや、学園祭と体育祭と卒業式はある」 「入学式は……」 「一応中等部から高等部に移る奴の分があったな。人数が少ないから、そんな盛大にはやらなかったけど。まあ学園祭とかも小規模だしな」  それを聞いて、花咲を含め、ここにいる面子は皆中等部からこの学園にいるであろうことを悟る。 「話戻すぞ。で、その生徒会なんだが、ここでは罪の重さが絶対だ。だから役員は全員Aクラス。Sクラスは人が居た試しがねえからな」 「ああ、凶暴だから気をつけろってことか」 「くそ、上手くまとめやがった……!」 「お前が説明下手なだけだろ」  憎々しげに言う鈴木に突っ込む。  罪の重さ、か。それなら問答無用で俺は生徒会役員になれるわけだ。なるわけないが。 そんなことを考えて、ふとさっきの鈴木の言葉に違和感を覚えた。 「Sクラスって誰か居たんじゃないのか?」 「え、いないだろ」 「何言ってるの、陽太君。先週入ってきたよ?」  花咲に指摘された鈴木が顔を青くして、何故か長谷川の方を向いた。 「それ嘘だったんじゃ……」 「馬鹿もここまで来ると可哀想だな」  長谷川が未だに外を見ながら言った。いつまで見てるんだ。飽きないのかあいつ。 「漣! お前だろ嘘だっつったの!」 「嘘だとは言っていない。そんな話は聞かなかったが、と言ったんだ。人のせいにするな」 「だって漣が一番の情報通だから間違いかと……」 「だってもくそもあるか」  一切鈴木の方を見ずにそう言い放つ長谷川。少し鈴木が可哀そうに思えてきたところで、いきなり黄色い声が食堂内に響き渡った。無論、ここにいるのは男だけなので気持ち悪くて仕方がない。 「あ、噂をすればだよ」  花咲が食堂の入り口を指差した。そこには男子生徒たちが描く円の中央に何人かの生徒がいて、中でも金髪長身の生徒が一際目立っていた。 「金髪?」 「違うよ。その後ろ」  後ろ?  もう一度見てみると、その金髪の生徒の後ろに少し人の影が見える。だが、金髪の生徒が大きすぎてよく見えない。 「金髪邪魔だな」 「ははっ。あの人たち例の人を気に入ってるから。というか、不良系はみんな憧れてるよ」  僕たち普通組からしたら怖いだけだけど、と花咲が苦笑する。さっきの黄色い声はそれだったわけか。いや、憧れていて黄色い声が出るのか、という疑問はあるが。

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