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 俺の股を左右に割り開き、その間に体を押し込んで、完全に体の自由を奪う赤髪。そうして身動きが出来なくなった俺のネックウォーマーを掴んで、乱暴に頭から抜かせる。露になった首の手形に、赤髪は少し顔をしかめたが、すぐに先程までの不敵な笑みに表情を戻した。 「なんだ、お前マゾなのか」 「ふざ、けんな……ッ!」  痣を人差し指でつつ、となぞられ、腰が無意識に浮いてしまう。その反応に更に笑みを深くして、赤髪は今度は俺のワイシャツのボタンを余裕たっぷりに上からゆっくりと一つずつ外していく。一番下まで外され中に着ていた黒の肌着をぐい、と首元まで捲られ、素肌が外気に晒されて身震いした。 「っ……」  五月といえど、まだ素肌だと肌寒い。 「白いな……」  恍惚な表情でそう呟いた赤髪は、触れるかどうかくらいの微妙な力加減で臍の横を撫でる。その感触に普通に撫でられるよりも酷く脳が反応し、ぞわ、と鳥肌が総立ちする感覚を認めた。 「っ……きもち、わるいんだよ……!」 「心配するな。じきによくなる」 「黙れ! ッん……!」  反論した口に、黙れとでも言うように指を無理矢理突っ込まれた。負けじと、突っ込まれた指を思い切り噛む。 「っ!」  反射的に口の中から指が引き抜かれた。だが、その指から流れ出した鉄の味が口内に残る。久々に味わう血の味。求めていたはずの物なのに、赤髪の物だと思うと吐き気がしてえづいた。 「げえッ……」 「……そんなに犯られたいのか」 「は? あっ、ちょ、やめっ!」  俺のズボンのベルトを外し、ズボンとパンツを勢い良く脱がした。赤髪は俺の唾液と流れ出る血で濡れた指で、外気に触れていっそう縮んだ愚息を掴んだ。 「やめ、あ……っ」  上下に擦られて直接的な快感が脳に響く。濡れた指がくちゅ、と卑猥な音を立てながら俺自身をそそり立たせていく。 「大口を叩いていた割にはいい反応だな」 「誰、だって、なるだろ、ぁあっ」  鈴口に爪を軽く立てられて、今までより特段強い刺激に思わず声が出てしまった。これ以上変な声を出さないために、慌てて唇を噛んで堪える。そんな俺を鼻で笑い、更に扱く力を強める。 「我慢出来るのか?」 「くそ、やめ、もう、んっ……」  悔しさに唇を更に噛むことしかできない。歯の圧力に負けた箇所の皮が、ぷつ、と歯を肉まで通してしまう。ついさっき味わった鉄臭い液体が内側にも少し流れ込んできた。抵抗出来ないのがこんなに辛いなんて。目尻から流れ落ちる水滴。これは生理的な涙か、或いは目の前のこいつに踏みにじられた男のプライドに対するものか。  赤髪が、俺の自身を弄っている手とは反対の手でその涙を拭う。 「泣くな」 「……っ」 「泣き止まないとこのまま突っ込むぞ」 「は……? ……ッ!?」  涙を拭った指が、先走りで濡れた秘孔に触れた。自分でも普段触ることのない場所を、訳のわからない相手が楽しそうに触っているこの光景は、本当に現実なのか。  何をするつもりなんだ。突っ込むって、何を。 「っあ……やめろ……っ!」 「抵抗する気力があるなら大丈夫だな」 「ぁあ……ッ! んんっ……」  秘孔の周りを撫で回しながら、赤髪は器用に竿の部分を強く扱いたり先端をぐりぐりと押さえ付ける。急速に湧き上がってきた射精感を堪えようとするが、赤髪の手はどんどんスピードを上げていく。  もう、無理だ。 「んぅ……、っああぁ──っ!」  そう思った瞬間、一際高い嬌声が喉から発せられ、自身から白濁が勢い良く噴出した。たちまち辺りに雄独特の臭いが立ち込める。俺は犬のように荒い息を繰り返しながら、迎えさせられた絶頂の余韻に体を震わせた。

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