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 目の前の男は、俺の白濁で汚れた手を自分の口元に持っていき、視線を俺の方に向けながら舌でべろり、と体液を掬う。  イってしまった。男の手で無理矢理与えられた刺激で。  その事実を、目の前の男がまざまざと見せつけてくる。  呆然とそれを眺める俺に、赤髪は目を細めて口角を更に上げた。未だに白く汚れた手で、俺の胸にある外気に晒されて存在を主張している粒を押し潰す。遠慮のない力に、胸からちり、と鋭い痛みが走った。 「いっ……」 「ここ、開発してやるよ」  耳元でそう囁き、そのまま中に舌を入れてくる。逃げようとする顔を片手で押さえ込まれ、逃げ場を失った耳は奥まで侵入を許していた。 「あっ……ぁあ……っ」  ぴちゃぴちゃと鼓膜に直接水音を響かせられ、音と感触で犯される。ぞくぞくする感覚は、幸いにも同時に指で擦られた乳首の痛みで相殺された。 「ぁ、くっ、っつ……」 「チッ、勃たないな」 「勃つわけ、な、……いだろ……!」  痛いのに勃つ訳がない。そういう意味で言ったのに、赤髪は何を勘違いしたのか納得した様子を見せて笑う。 「ふうん。もっと痛い方がいいのか?」 「ちが……っ、やめ……!」  涙でぼやけた視界で赤髪を睨みつける。馬鹿な事を考えなければ良かった。先生の言う通りに、余計なことをしなければ良かった。そう思っても後の祭り。恐らくこうして涙目で睨んでいることも、赤髪にとっては被虐心をそそられるだけなのだろう。それでも涙は静かに、だが確実に生まれてくる。 「こっちが好きか?」  赤髪の片方の手が、胸から下半身の方へ移動し、先ほど触られた秘孔を再びなぞり始めた。 「っあぁ! ……ふっ、んんぅ……ッ!」  感じ慣れない快感が背筋を上り、ひくひくと孔の周辺の筋肉がひきつるように蠢く。いっそ不感症になってはくれないだろうか。そうすれば、もう達せられることもないのに。  摘まんだり撫でたりしていた指を胸の尖りと後孔から退けて、赤髪が天を仰いではあ、と溜め息を吐く。 「あー、もう無理だ」 「……っ」  やっと諦めた。そう安堵したのは束の間。 「煽るお前が悪い」 「え、ぁ、おいっ……!」  先程まで撫でられていたそこに、熱い昂ぶりが押し当てられる。赤髪のそれは既に濡れていて、秘孔にさらにぬるぬるとした感覚を伝えた。もしや、入れようとしているのか。何を考えている、そんなところに入るわけがない。そもそもそこは出口だ。 「残念だったな。逃げれなくて」 「ぅわっ……!」  腰を持たれて、ぐいっと下に引っ張られる。閉じられた扉を無理矢理抉じ開けようとする圧力。  い、嫌だ──!  この先襲いかかるであろう痛みに、目をギュッと閉じた時。 「あれ? お取り込み中?」  この場の雰囲気をぶち壊す能天気な声が聞こえた。

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