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そう考えたのも束の間。獲物に腕を触れられた瞬間、一際大きな悪寒にも似た快感がびりびりと背筋を駆け上がり、頭が真っ白になる。
「ひ、あッ」
骨を響かせ、さらに耳からも入る聞き慣れない高い声。一瞬、その声が自分のものだと気付かなかった。パンツの中が水気を帯び始め、気持ち悪さと同時に圧迫感すら覚える。
一体自分がどうなっているのか、熱で浮かされた脳は、その答えを出そうとはしない。ただ、目の前で赤い顔をした戸田と、その隣にいる委員長が、二人して俺の下半身を凝視していることに気付いた。
「聖ちゃ、ん……」
「何で、それ……っ」
荒い息に辛うじて消されなかった二人の声を聞いて、俺も同じように視線を下に落とせば、制服のズボンを押し上げるそれが目に入る。しかし、普段なら羞恥で今すぐにでも何処かへ逃げてしまいたくなるはずなのに、今の俺はその事実に妙に納得をし、むしろ先程より興奮を抑えきれずにいた。
恥ずかしさよりも何よりも、下腹部に蟠るこの熱をぶちまけてしまいたい。感じたことのない快楽に身を置いて、全てを忘れてしまいたい。肉を切り裂いて、血に塗れるよりも、もっと強烈で淫猥で直接的な快感が欲しい。
羞恥心は何処かへと消え去っていた。ただ自分の欲望を満たすことを求め、視界に映る人物へとねだるような声を出す。
「と、だ……」
「まって、聖ちゃん、その声は駄目だって!」
耳まで蛸のように茹で上がった戸田が、俺の口をその手で塞いだ。その僅かな触れ合いが、更に俺の体を高めていく。
「っあ……」
声と吐息の比率が逆転し、掠れた音が喉から発される。戸田はさらに顔面を紅潮させ、あーもう! と頭を大きく左右に振りながら言うと、小刻みに震え今にも崩れ落ちそうな俺の膝裏に腕を差し入れ、そのまま横向きに抱き上げた。
動いた拍子に湿った布が自身に擦れて、射精を促す強い快感を生み出す。無意識に達するのを我慢しようと、すぐ傍にある戸田の首にしがみついた。
「っあ、ん……っ、だめ……だ……っ」
「聖ちゃん、大丈夫! すぐ楽にしてあげるから!」
ごくり、と生唾を呑んだ戸田が、俺の耳元で大きな声を出した。普段なら五月蝿い、と一喝するその声は、今は興奮に対する抑制剤のように働き、幾分か熱が逃げていく。
そんな俺たちの様子をおろおろとしながら眺めていた委員長が、俺を担いだまま店の方にまた歩き出した戸田の腕を掴んで止めた。
「な、何するつもり?」
「店の裏で抜く!」
「はあ!?」
「仕方ないじゃん! 抜かないとコレ治まらないでしょ絶対!」
その言葉の直後、俺の下腹部に委員長の視線を感じる。うっ、と息を呑む声が聞こえ、戸田の腕から委員長の手が離れるのが見えた。
制止がなくなった戸田は、割れ物を扱うかのように優しく俺を抱いて静かに歩く。それでも微かな振動は消せず、異様に刺激を感じやすくなっている俺の体は、少しずつ絶頂への階段を昇っていた。
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