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「って訳でさ、アンタらは指咥えて見てて?」  言うが早いか、山中は委員長を、いつの間にか間近に迫っていた他の二人が戸田を羽交い締めにして、守りを失った俺の眼前に立原がゆっくりと歩いてくる。 「くそ、離せよ!」  二人掛かりでも抑えるのに精一杯というくらいに暴れる戸田と対照的に、委員長は山中一人に完全に抑えられ、身動きすら取れなくなっている。徐々に俺から距離を離される戸田に伸ばそうとした手が、立原に痛いぐらいに強く掴まれた。その痛みさえ俺の脳は快感として認識し、外気に触れたままの一物の先端から、どろ、と先走りが垂れ落ちる。 「ッうぁ……!」 「へえ……、感じまくってんじゃねーか」  欲に塗れた眼が、俺の全身を上から下まで舐めた。視線を向けられているだけで、心拍数がどんどん上がっていくのが分かる。どれだけ息をしても、酸素が肺に入ってくる感覚がない。息苦しさに、さらに呼吸の回数が増えていく。  触れられている手首に神経が集中しているのか、掴まれた時ほどではないものの、じんじんと緩やかな刺激が継続して体中を駆け巡っていた。 「っはぁ、っ、はっ……ぁっ……」 「辛そうだなあ」  見下すような目をした立原が、俺のワイシャツの裾からもう片方の手を差し入れ、腹の肌をつつ、と撫でた。跳ねる体に合わせて、焦らされ続けている自身から細かく粘液が飛び散り、アスファルトを汚していく。 「あ、あぁ……っ、や、めっ、んぁっ……!」  腹を撫でていた手が、上へと滑っていく。胸まで辿り着いた指が、小さな尖りを摘んだ。瞬間、雷撃のような凄まじい衝撃によって、仰け反りながら痙攣する。 「ぁああッ!」 「すっげえ反応。軽くイッたんじゃねえの」 「っ……は……だま、れっ、んんっ……!」  今度は胸の尖りを指の腹で潰されて、こねくり回される。怖いほどの快感に身を捩って逃げ出そうとするが、アスファルトに押し倒され、足の部分に馬乗りになった立原に動きを封じられた。 「早く変われよー」 「まあそう急かすなよ」  山中の不服そうな言葉に、立原が俺を辱しめる手を休めることなくそう返答する。  そもそも何故男の自分がこんな目に遭っているのかが分からない。何のためにこいつらは、俺を辱めようとしているのか。与え続けられる快楽に溶けた頭を必死に動かしていれば、腕を引っ張られて起き上がらされ、俺の背後に立原が体を置いて、後ろから乳首を弄ばれる。 「ひぁっ……! も、やめ……っん……あっ……!」 「っ聖ちゃんを離せ!」  不意に、誰かの痛がる声と戸田の叫び声が大きく聞こえて、飛びそうになる意識を声の方向へ持っていく。だが、やんわりと自身を握り込まれ、強制的にその意識は自分の下半身へと引き摺られた。 「あぁッ! んん……っ!」 「離せって言われても、こんなになってちゃ辛いと思わねえ?」 「離せっつってんのが聞こえねえのか」  地獄の底から這い出るような戸田の声色に、立原は漸く手を止めた。 「おい、川部(かわべ)。やれ」  無機質な声の命令に、戸田を抑えていた二人のうち片方が、もう片方に戸田を強く押し付けて、その頬を一発殴る。 「戸田!」  鈍い打撃音と同時に、委員長の焦った声が耳に入ってくる。川部は、山中に手で口を塞がれた委員長を一瞥し、俯く戸田の前髪を掴んで顔を上げさせ、さらにもう一度同じ場所を殴りつけた。くぐもった荒い息を漏らし、未だ自分の前髪を掴む川部を睨みつける戸田の口の端から、液体が垂れる。  赤い赤い、真っ赤な血が。

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