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一瞬だけ、周りの世界が真っ白になる。恐らく意識が飛んだのだと思う。それほどまでに強烈な快感に襲われていた。
達したときと同じように身体がびくびくと痙攣している。しかし、何故か自身は勃ちあがったままで、熱も放出していない。普通の射精とは長さも快感も次元が違った。
「っは……、ふぁっ……」
「マジでイけるんだ……」
未だに快感の余韻で喘ぐ俺を、驚いたような目で見る戸田に、怒りが湧いてくる。涙が溢れている目で思いっきり睨むと、戸田はしゅん、と小さくなった。
「ごめん」
「……謝るなら、初めから、やるな!」
「聖ちゃんが可愛すぎたからってやめて殴らないで!」
「っ……、疲れ、た」
拳を振り上げた瞬間に体力が底をつき、ふらりと横に倒れそうになった身体を、戸田に支えられる。
「ごめん、ちゃんとイかせる」
「も、いい」
「良くない。薬抜かなきゃいけないし。するよ?」
「んっ、ぁ……ッ」
俺の返事を待たずに、戸田の手が自身を擦り始め、自分の下半身から聞こえるくちゅ、という水音が耳を犯す。裏筋や鈴口の部分を弄られると、遂に俺自身は戸田の手の中に白濁を吐き出した。
「ぁ、は……っ」
待ちわびた解放感を堪能するように、暫く快楽の波に身体を委ねる。暫くすれば、身体を火照らせていた熱も冷め、正常な皮膚感覚が戻ってきた。
「お疲れ。拭くから動かないでね」
戸田が、持っていたハンカチで俺の体を拭きつつ、自分の手を拭く。体が怠くて動けないことを伝えると、戸田は服も着させてくれた。自分も傷だらけで辛い筈だが、それを口に出そうとはしない。せめてもの労いに、二、三度戸田の頭を撫でれば、戸田は嬉しそうに微笑んだ。
そういや委員長はどうしたのかと辺りを見回すと、少し離れた場所で、ぎゅっと目を瞑り両耳を手で塞ぎながら突っ立っていた。
「委員長」
「な、なに!? 終わった!?」
俺の呼び掛けに、委員長はびくりと身体を強張らせて、恐る恐る片目を開ける。服を着ていることを確認したのか、もう一方の目も開けて、耳から手を離した。
「怪我はないか」
「大丈夫。むしろあんたらの方が心配」
俺たちの方へ歩を進めながら、委員長が答える。俺たちの側に来て腰を下ろした委員長が、戸田の顔を覗き込む。
「だいぶ派手にやられたね。このまま病院行って診てもらおう」
「大丈夫、こんくらい」
「痩せ我慢はしなくていいから。委員長命令」
芯のある委員長の言葉に、戸田は渋々頷いた。あんたは? と委員長に聞かれ、問題ないと返しながら、漸く戻ってきた地に足が着く感覚を確かめるために立ち上がった。
「あ、でも先にこいつらなんとかしなきゃ」
そう言った戸田の視線の先には、俺が沈めた生徒たちの姿がある。全員気を失っているようだ。
「バスまで運ぶ?」
「起こせば良いだろ。そんなに深く入れてない」
委員長の提案を退けて、二人からの意見は聞かずに手近にいた生徒の顔を緩く何発か叩く。確か、川部だったか。呻き声を上げつつ押し上げられた目蓋の下にある眼球が、俺の姿を映した。
「っひぃ……!」
カッと見開かれた目が恐れを帯びたと同時に、悲鳴を上げて川部が身体を起こして逃げようとする。その襟首を掴んで、ずい、と顔を寄せた。
「寝てる奴全員起こしてバスに戻れ。余計な真似をしたら、今度は二度と目が覚めないようにしてやる」
出来るだけ低い声で恫喝すれば、川部はがちがちに強張らせた顔で何度も小刻みに頷いた。襟首を離すと、慌てて近くにいる生徒を揺さぶり出す。その姿を何秒か観察してから、戸田と委員長に向かって、軽く親指を立てた。
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