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ピーンポーン  唐突に部屋に響いた呼び鈴の音で、山中と俺の姿が視界から消える。無意識に詰めていた息を肺が空っぽになるまで吐き出した。息を整えれば、不思議と心も落ち着いてきた。 ピーンポーン  再度、間延びした呼び鈴が鳴った。  誰だろうか。戸田や鈴木たちではないことは確かだ。あいつらであれば、一度目の呼び鈴の後に何かしらの声かけがあったはずだ。無言で呼び鈴を鳴らし続けることもない。  ピーンポーン  考えている間に、またしつこくチャイムが鳴る。流石にここを訪ねてきた存在が気になり、インターフォンのカメラを確認しにいこうと身体を起こす。その瞬間、ピーッ、とドアの鍵が開く音が聞こえ、思考が停止した。  おい待て。  何で、開いた?  思いもよらない状況に、一気に心臓の動きが活発になる。暑さのせいではない汗が流れ、急激に体温が下がっていく。  ドアが乱暴に開けられる大きな音がして、足音が聞こえ始めた。一人じゃない。四、五人の足音だ。 「な、んで……」  考えている間にも部屋に近付いてくる足音たち。慌ててベッドから降りたと同時に、俺の部屋の前で足音が止まった。その直後、部屋のドアが開け放たれ、ぞろぞろと見たことのない男子生徒たちが部屋へと流れ込んでくる。全員が一目で不良と分かる出で立ちだ。 「お前が藤原聖か」  先頭にいた男子生徒が口を開いた。感情のない、ただ確認するだけのニュアンス。 「……勝手に入ってきて挨拶もないのか」 「はあ? するわけねえだろ。お前が開けねえから開けてやったんだろうが。おい、お前たち」  軽口を叩く俺の言葉に少し苛立ちを見せながら、その男子生徒は他の男子生徒たちに声をかけた。 「こいつを生徒会室へ」 「は……? な、やめろ!」  いきなり物量で襲ってきた男子生徒たちに床へと体を押さえ込まれる。それから逃れようと暴れようとするが、四人もの体重がかかった状態では満足に動くことすらできず、簡単に背中へと捻られた腕を押し付けられ、完全に抵抗力を失った。 「っ……!」  捻られた腕から脳へと伝わる痛みに顔を歪めれば、指示をした男子生徒は薄く笑った。 「何しやがる……!」 「会長がお呼びでな。大事な報告があるそうだ」  会長と話せるだけで光栄だと思えよ、と、男子生徒は薄ら笑いを浮かべたまま告げた。 「無駄話は後だ。運ぶぞ」  指示役の男子生徒の言葉と共に、捻られている腕の|肘窩《ちゅうか》にちくり、と鋭い痛みが走る。 「っ!」  その数秒後にはコンピューターの電源を強制的に落とすかのように、突然俺の意識は音もなく無くなった。

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