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 ◆  藤原が眠りに落ちた後、水野は暫く視線をさ迷わせていた。緩やかな夏の風の音が鼓膜をゆっくりと震わせる心地好い感覚に、こくり、こくりと水野の頭も船を漕ぎだし、やがて藤原の頭へと寄りかかって夢の中へと誘われる。  そして、風と静かな寝息だけが響くようになった六階に、チン、と微かにエレベーターが到着する音が割り込んできた。  エレベーターがある部屋から出てきたのは、燃えるように赤い髪の男子生徒。  その男子生徒は、廊下で互いに寄りかかって寝ている藤原と水野をその視界に映し、口角をゆっくりと上げて呟いた。 「見つけた……」

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